<楽天2-1西武>◇30日◇秋田

 逃げ切りが決まると、楽天岩隈久志投手(30)は真っ先にベンチを飛び出した。引き揚げて来る仲間1人1人とハイタッチを終え「完封したかったんですけどね」と打ち明けた。8回2死二、三塁で西武中島に右前打を打たれて1点を失い、この回で降板した。それでも右肩痛から復帰した7月末以降では自己最多となる106球を投げ、6勝目を挙げた。

 重みを分かっていた。7連勝が止まり迎えた一戦。連敗だと嫌なムードは必至。走者を背負っても「丁寧に」切り抜けた。ギアを上げたのは中盤のピンチ。4回1死一、二塁。「取りにいった」三振を奪った。フェルナンデスを2ボール2ストライクから139キロで内角をえぐった。秋山はフォークでカウントを稼ぎ、最後は外に力勝負。連続空振り三振で脱した。

 星野監督も「連勝が止まった後。負けると嫌な感じになるから大きかった。粘り強く投げてくれた」と目を細めた。年に1度の「みちのくシリーズ」。去年も秋田で勝った岩隈は「本当に勝たしてくれますね」と感謝した。なまはげのお面をかぶったファンのエールも浴びた「東北」楽天ゴールデンイーグルス。右腕が定めたプラスの流れを、今日は盛岡で加速する。【古川真弥】