プロ野球のアンチ・ドーピング調査裁定委員会は1日、東京・内幸町の日本野球機構(NPB)で緊急会見を開き、中日井端弘和内野手(36)に対しアンチ・ドーピング規則違反でけん責処分と10日までに始末書の提出、中日に対し制裁金300万円を科した。07年の制度導入後、違反者は4人目で日本人選手では初。

 7月12日のヤクルト戦(神宮)で行われた検査で、同内野手の尿からステロイド系の抗アレルギー剤の一種として禁止物質に指定されているプレドニゾロンなどが検出された。慢性的な眼病治療のために内服したもので、競技力向上目的ではなかったという。8月3日に事情聴取を行い、治療目的で使用する薬物の除外措置(TUE)について球団側の不手際が判明した。

 そもそも眼病治療のため09年4月21日付で井端は球団を通じてTUEを申請し、承認された。有効期限は同年5月30日だったが、井端も球団トレーナーも把握しておらず、再申請しなくても再度服用できると誤信していた。NPB加藤良三コミッショナーは「球団の手続きミスが原因。TUEについて今後、春季キャンプやトレーナー会議、新人研修会などで周知徹底を図りたい」と話した。

 これらの事情を鑑み、井端についてはアンチ・ドーピング規定違反の処分の中で最も軽いけん責となった。中日球団にはTUEの内容を井端に伝えず、その書類の保管にも不備があるなど相応の過失が認められることから、NPB規定10条4項に基づき300万円の制裁金が科された。