<ヤクルト4-2阪神>◇11日◇神宮

 ヤクルトが、苦手の阪神に同一カード3連勝を決めた。8回に、岩手出身のヤクルト4番畠山和洋内野手(28)が決勝17号2ランを放った。東日本大震災からちょうど半年。津波で実家を失った同郷の高校友人にささげる1発でもあった。95年の阪神・淡路大震災、01年にアメリカで起こった米中枢同時テロ。未曽有の惨事が起こった年に不思議と優勝しているヤクルトが、ラストスパートに入った。

 開幕前にかかってきた1本の電話を、畠山は今も忘れない。東日本大震災で安否が確認できずにいた岩手・専大北上高の野球部同級生からだった。「ショートを守っていた親友。すごい仲が良かった。ようやく電話がつながったと思ったら『家がねえ』って。自分が一番大変な時に、僕を応援してくれて。そういう人たちのためにも、1年間プレーで見せたい」。みちのくへの思いは、半年たって優勝争いする今も変わらず、心の支えになっている。

 1打席も、悔いを残したくない。震災の年にブレークした男の集中力は高まっていた。同点に追いつかれた直後の8回。2死一塁。阪神榎田に追い込まれた後、内寄りの直球が2球続いた。1球目はカットし「頭になかったインサイドが、まさかくるとは。ファウルにしてケアの度合いをあげた。一番長打になってくるところに放ってくれた」。警戒度を上げた2球目を完璧にとらえ、左翼席に決勝2ランを運んだ。

 相性が悪い阪神に同一カード3連勝で、連勝を6に伸ばした。押され気味だった終盤の劣勢を1発ではね返し「今日勝てば、向こうがつらい状況になる。相当うれしかった」と全身から喜びがわいた。8月に失速しかけたが、9月に入って9勝1敗。月が替わったミーティングで、小川監督は選手を集め「これからは毎日プレッシャーを感じながらの戦いになるけど、必ず野球人生の財産になる。思い切ってプレーしてくれたら、結果は監督の責任だから」。再び結束を呼びかけると、独走態勢に入った。

 未曽有の惨事に見舞われた年は強い。阪神・淡路大震災の95年、米中枢同時テロの01年と、いずれも優勝している。「みんな疲れているけど、チームが1つになって優勝に向かっている。あの時の一球、一打が優勝争いにかかってくる、という気持ちでやっている」と畠山。選手スタッフの間でも話題になっている“不思議なデータ”が、10年ぶり優勝を後押しする。【柴田猛夫】