<楽天8-0ロッテ>◇8日◇Kスタ宮城

 ついにトップに立った。楽天田中将大投手(22)がロッテ打線を6安打に抑え、今季5度目の完封勝利で18勝目を挙げた。最多勝争いで並んでいた日本ハム・ダルビッシュ、ソフトバンク・ホールトンを超え、リーグ単独トップに躍り出た。防御率、勝率を合わせた3冠で、先発投手最高の栄誉「沢村賞」にグッと近づいた。

 ぶれなかった。どんなに点差があっても油断は皆無だった。8-0の9回2死、阿部の失策から一、二塁を招き、田中は「阿部のためにもゼロに抑える」と、ふんどしを締め直した。塀内を中飛に仕留め、集まってきた仲間と喜んだ。

 立ち上がりが完璧だった。1回は8球で3者凡退。その裏に3点の援護をもらったのだから、防御率1点台、リーグトップの右腕には十分すぎた。7回で交代を打診されたが「球数が少なかったから」と投げ抜いた。リーグ単独トップの18勝。5日には味方打線がダルビッシュから10安打を奪って勝利した。その伏線があってこそに「札幌でダルさんに勝っていただいた」と感謝を忘れなかった。

 星野監督は「エースの条件」に(1)こいつで負けたら仕方ないと思わせる(2)今日は勝てると予想が立つ(3)何とかしてやろうと思わせるの3つを掲げる。(1)、(2)は言うまでもないだろう。(3)も、打線が大量援護した。星野監督は「田中のときは早めに点が入るな。不思議なオーラがあるよ」。描くエース像に、ふさわしいことが証明された。

 今季も残り6試合。CSは絶望的でも、選手として据える軸は変わらない。

 田中

 プロですし、最後まで一生懸命、プレーするのは当たり前です。普通のことだと思います。

 さも当然と言い切った。今年の正月。郷里の兵庫・伊丹で少年野球の恩師、昆陽里タイガース山崎三孝監督(66)に言った。「(広島の)前田君のように投手部門を総なめくらい行けたら、優勝も見えると思います」。一足早く沢村賞をとった同学年を挙げた。「子どものころから決して大口をたたかない子。やるなと思いました」と山崎監督。優勝は逃した。だが「最後まで気を抜くことはありません」。そう締めた田中が、もう1つの目標を果たそうとしている。【古川真弥】