<楽天8-0ロッテ>◇8日◇Kスタ宮城

 楽天聖沢諒外野手(25)が大目標をクリアした。ロッテ戦で2盗塁を決め今季通算51個。大台突破を果たした。星野監督が就任直後に掲げた機動力野球の体現者として、今季野手陣の中で最も大きく飛躍した。監督が「(元阪神)赤星になれる」とほれ込むいだてん。伸びしろが大きい分、まだまだ速くなる可能性を秘めている。

 セット技術が高いロッテ成瀬が相手でも、関係なかった。聖沢が3回に決めた今季50個目の盗塁。両足がアンツーカーからはみ出すリード、迷いなきスタート。ベースに差し込むスライディング。高い技術がぎっしり詰まって美しかった。「最近少しモタモタしていたので、焦りはありました。目標としていた数字なので素直にうれしいです」。変わらずクールを通したが顔にはさすがに安堵(あんど)があった。

 「24時間、野球だぞ」。国学院大3年時、当時の竹田監督にもらった言葉を忘れない。「盗塁に大切なのは、投手の空気を感じること」。持論に恩師の金言を重ね、実践することに決めた。趣味・人間観察。駅で、誰が最初に階段を上るかなど、体の動きを見て推測する習慣をつけ感性を磨いた。

 聖沢

 相手バッテリーの配球、クセなどデータを蓄積する。その上で、感じるもの、言葉では言いにくいものだけど、感性の部分が大事になると思います。最初はうまくいかなかったけど、今はうまくスタート出来るようになった。

 凡人には理解しがたい才能に地道な努力と創意工夫を重ね、俊足を開花させた。

 星野監督はその素材にほれ込んでいる。「1億円プレーヤーになる可能性を秘めている。スターに育てるのが、オレの仕事だと思っている」と断言する。

 星野監督

 赤星の域まで、まだ到達していない。足場がKスタより緩い黒土の甲子園で、大げさでなく、失敗した印象がないんだ。盗塁に必要な一番の資質は、スタートを切る勇気かな。ヒジリもかなり、いい線に来た。「ミスを恐れるな」って、口酸っぱく言ったから。

 ダイヤの原石は足、だけじゃない。

 星野監督

 体の線が細いが、パワーがある。聞けば学生時代、中軸を打っていたそうだ。ウエートトレーニングなど自分の体を研究し、もっとパワーをつければ、3番だって打つ能力がある。年間フル出場できる体力もつけてほしいな。

 プロで一線を張る資質を備えていることは、50盗塁で証明した。さらに上まで突き抜けることが出来るか。答えを出すのは本人だが、自軍選手に極めて慎重な監督がここまで言う以上、聖沢には無限の可能性がある。【宮下敬至】