<中日3-0ヤクルト>◇10日◇ナゴヤドーム
落合竜が天王山4連戦の初戦に完勝した。大一番で決勝打を放ったのは中日平田良介外野手(23)だ。2回2死一塁で、ヤクルト石川からバックスクリーン右へ先制の10号2ランをたたき込んだ。重圧とは無縁の強心臓男が、経験豊富な主力に交じって「いい仕事」をしている。2位ヤクルトとのゲーム差を1・5に広げ、奇跡の落合監督退任Vへ1歩前進。最短で明日にもマジック4、もしくは5が点灯する。
勝てば天国、負ければ地獄。優勝を目前にした1戦必勝の戦いの中、平田が強心臓ぶりを見せつけた。互いに緊迫した立ち上がりとなった2回2死一塁。最初の打席を迎えた平田の頭脳は冷静だった。
「低めの変化球を引っかけないようにと。少しでも浮いてきた球を狙おうと思っていました」
打者の打ち気を逆手に取る石川の特長を再確認した。狙い通り低めを見極めると、高めに浮いたシュートをとらえた。打球はバックスクリーン右へ飛び込む10号2ラン。23歳の若者がたたき出した先取点は、そのまま決勝点となった。
「完璧でした。打った瞬間、入ったと思ったんですが、位置が位置なんで全力で走りました。フェン直だったら怒られるんで…」
そう言って、無邪気に笑う姿は大一番の重圧など感じていないように見える。「自分は重圧を感じるタイプじゃないので、楽しくできています」。自他ともに認める“天然系”だ。試合後のお立ち台、前日の主役である堂上剛について「同世代の堂上選手の活躍は刺激になりましたか」と問われると一瞬、止まった。「え?
剛裕さんは2つ上ですけど?」。「同世代」と「同学年」を間違えた平田は「同世代ってどういう意味ですか?」と逆質問して、笑いを誘った。
天王山といえる直接対決、落合竜は普段通りの野球でヤクルトを圧倒した。試合前も、普段通りのミーティングを行っただけ。首位決戦に関する話は一切なかった。
「結論から言えば、普通にやるのが一番かな」
3点目をたたき出した井端の言葉が象徴的だった。この8年、毎年優勝争いをしている。荒木、井端、森野、谷繁…。修羅場を肌で知る主力と、強心臓の若者が実力通りの仕事をした。
「きょうは多いな」。会見場にやってきた落合監督は大勢の報道陣を見渡すとにやりと笑って、ひと言。「その場面、場面でいい仕事してるよ。このままの状態でいいんじゃないか」-。オレ流節も普段通り。常勝軍団が経験値の差を見せつけ、1歩前進した。【鈴木忠平】
◆平田良介(ひらた・りょうすけ)1988年(昭63)3月23日、大阪市生まれ。小1で野球を始め、大阪桐蔭では甲子園に2度出場。05年高校生ドラフト1巡目で入団。1年目の06年8月26日の横浜戦(ナゴヤ)で1軍初出場。通算成績は出場217試合で打率2割6分2厘、13本塁打、57打点。177センチ、88キロ。右投げ右打ち。推定年俸1200万円。家族は夫人と1男。



