<楽天6-1ロッテ>◇10日◇Kスタ宮城
子どものころの夢がかない、楽天山崎武司内野手(42)は何度目か分からない涙を流した。「胴上げしてもらったことなくて。夢だったんだ」。負けじと顔をくしゃくしゃにした仲間の手で、100キロの巨体が宙を舞った。1回、2回、3回…。計6度。「やったー!」。愛する仙台の秋空に叫んだ。
現役続行を貫き、球団に自由契約を申し出た。「未練あるなあ」と笑って迎えた楽天最後の打席。6-1の7回1死走者なし、代打を告げられた。背番号「7」が見え、徐々に歓声が大きくなった。手にしたバットの先をポンポンと蹴りながら打席へ。素手の右手に赤土をつける。いつものルーティン。違ったのは、ホームベースにしばし、その右手を添えたこと。「ホームラン、打ってやる」。10試合ぶりのブランクを感じさせなかった。初球から振った。ファウル。「タイミングが早い」。2球目で修正し、ロッテ吉見の外の真っすぐを中前に運んだ。「芯、食った。俺、まだ腐ってねえな」。自信と感慨をないまぜに一塁へ走った。
サプライズで呼ばれたお立ち台。ファンに最後のメッセージを告げた。
山崎
こんなに寂しいヒーローインタビューは初めてです。今後はかわいい後輩たちが頑張ってくれる。近いうち優勝して、チャンピオンフラッグを掲げてプレーしてくれるはずです。
後輩への激励と同時に“宣戦布告”も残した。次は敵として相まみえる。「違うユニホームを着て帰ってきたい」。厳しいことも言った。嫌われても構わなかった。これからは手ごわい敵となってくれ。山崎最後の願いだ。【古川真弥】



