<中日4-3ヤクルト>◇12日◇ナゴヤドーム

 悔しそうな表情でベンチに引き揚げる中日マキシモ・ネルソン投手(29)に、ナゴヤドームの竜党は惜しみない拍手を送った。9回の先頭森岡に四球を与えたところでスイッチ。自身2度目となる完封まであと3人だった。8回0/3を投げ、3安打1失点。球団の外国人投手としては5人目となる2ケタ勝利を手にした。

 「とにかく全力でいったよ。今日勝てばマジックが出るというのも知ってたからね。神様に感謝。チャンスをくれた人にも感謝している」

 抜群の安定感だった。1回を3者凡退で乗り切ると、危なげなくゼロ行進。いつもは試合中盤で高めに浮いてくるボールも最後まできっちりと低めにコントロールした。昨季は3戦3敗。今季も4試合で3敗と苦手にしていたヤクルトから初めて白星を手にした。

 落合博満監督(57)の言葉は間違っていなかった。今年の年明け。もっとも期待する選手を問われた落合監督はこう話した。「ネルソンだろうな。ボールも変わることだしな」。そのネルソンは開幕投手を務めてこの試合で登板回数200イニングに到達。1年間、先発ローテを守ったただひとりの投手になろうとしている。

 「まだ終わったわけじゃない。次もあるので11勝を目指して頑張っていきたい」。9連敗というトンネルも味わった。だが、決して下を向くことはなかった。貪欲に次戦を見据えるタフネス右腕が、快進撃を支える。【桝井聡】