ヤクルト青木宣親外野手(29)が、球団や年俸など条件面にはこだわらず、30球団OKの姿勢でメジャー挑戦する。ヤクルトは10日、都内で記者会見を開き、青木のポスティングシステム(入札制度)による大リーグ挑戦を容認すると発表した。ポスティング申請日は日本シリーズ後、米国側の動向を見極めながら判断する。プロ8年間で首位打者3度、200安打2度を記録した日本を代表するヒットマンが、大学時代からの夢を現実にする。
少し表情をこわばらせ、目は充血していた。大学時代からの夢だった大リーグ挑戦が実現する席で、青木は覚悟という言葉を繰り返した。「向こうに行くことが夢じゃない。活躍することが夢。とにかく覚悟していかないといけないと感じている」。7日の夜に衣笠球団社長にポスティング移籍を訴えてから、眠れない日々だった。この日球団に到着した午後2時40分過ぎ、初めて移籍容認の言葉を正式に伝えられた。
だから、細かい希望は口にしない。「どんな条件でも、どのチームでも、僕を必要としてくれる球団があれば、そこに行きたいと思う」と30球団OKの姿勢を打ち出した。近年日本人野手の評価は、米国内では決して高くない。「不安はもちろんあります。でも、周りの人と比べることはあまりしていない。自分はメジャーに行きたいから、それだけです」と意志を貫いた。
球団側は、青木の熱意とチームへの貢献度を加味して送り出すことを決めた。仮に入札金額が低かった場合でも、断ることはない。衣笠球団社長は「(入札額に)下限は設けない。アメリカは景気が低迷して、日本から行っているメジャーリーガーも評価が下がっている。青木君も大変厳しい状況の中からの出発になることは承知している」と話した。日本シリーズ終了後、ウインターミーティングが始まる前までをメドに、ポスティング申請を行う考えだ。
青木は10月28日に第1子となる長女が生まれたばかり。「飛行機に乗れるようになるまでは」と、当面は単身で渡米する。すでにプロゴルファー石川遼が愛用する英会話教材「スピードラーニング」で勉強を始めている。06年オフに初めて大リーグ挑戦を訴えてから5年。尊敬する先輩、マリナーズのイチローらにも助言を受けながら夢を育んできた。球団の理解を得て、海外FA権を取得する13年を待たずに、海を渡る希望をかなえた。【前田祐輔】



