<日本シリーズ第1戦:ソフトバンク1-2中日>◇第1戦◇12日◇福岡ヤフードーム

 中日和田一浩外野手(39)が、起死回生の1発をぶちかました。1点を追う7回にソフトバンク和田から左翼席へ同点ソロ。西武時代から含めて過去5本塁打を放っている左腕をひと振りで攻略した。

 和田の唯一と言っていい失投を見逃さなかった。7回1死走者なし。カウント1ボールから外角スライダーを迷いなく振り切った。ふわりと舞った打球は敵地福岡ヤフードームの左翼席最前列に着弾。ノーヒットノーランを続けていた相手を、ひと振りで仕留めた。

 和田

 とにかく強く振ることだけを考えた。ストレートのタイミングで1、2、3でいきました。1点差だったんでワンチャンスで何とかなると思っていた。

 周囲が注目する昨季のMVP対決で、心理的に優位に立っていた。西武時代を含め、過去28試合で対戦して74打数33安打、5本塁打、14打点。圧倒的な数字がパ・リーグを代表する左腕を追い込んでいたに違いない。1打席目は際どい内角球で三振を奪われたが、2打席目はボール球を見極めて四球。3打席目でしっかりと仕留めた。

 やはり大舞台では経験がものをいう。西武時代から数えて通算6度目の日本シリーズで6本目となるアーチだ。「まあ、慣れてるからね」とサラリ。試合前も緊張とは無縁だった。

 落合監督の退任が発表された9月22日、ナゴヤ球場で2軍戦に出場していた。試合後に関係者から知らせを聞き、絶句。「それについては僕から何も言えない」と真顔になった。

 今季は過去10年でワーストの打率2割3分2厘、12本塁打。屈辱にまみれた。このままシーズンを終えるわけにはいかない。昨季の日本シリーズは打率4割1分4厘と打ちまくった“シリーズ男”が、去りゆく指揮官のためにも打ちまくる。【桝井聡】