<日本シリーズ:ソフトバンク1-2中日>第6戦◇19日◇福岡ヤフードーム

 落合中日が「飛び道具」で逆王手をかけた。2勝3敗と王手をかけられて迎えた敵地での第6戦。今季限りでの退任が決まっている落合博満監督(57)は8回2死一塁、中5日で先発した吉見から守護神岩瀬をイニングまたぎのセットアッパーとして起用。見事にピンチを切り抜け、接戦を制した。両チームが本拠地で全敗する、究極の“外弁慶”シリーズは、今日20日に最終第7戦で雌雄を決する。

 これぞ「奥の手」だった。8回2死一塁。ベンチの落合監督がスッと立ち上がった。ここまで好投の先発吉見からスイッチしたのは、守護神岩瀬だった。川崎、本多と左打者が続く場面。9回を見越した上での継投だった。もくろみ通りに岩瀬-浅尾が後続をピシャリとリレーで1点を守りきり、逆王手をかけた。

 展開がどちらに転んでもおかしくない接戦を、継投でしのいだ落合監督は「その順番は関係ないと思います。今日のゲーム負ければ終わり。勝つことだけを考えれば、あの選択肢が正しかったんだろうと思います」と、何食わぬ顔で振り返った。かたくなに守護神=岩瀬にこだわってきた。負けたら終戦の大一番で「禁じ手」ともいえる岩瀬-浅尾のリレーを解禁。勝つことだけを考えた作戦だった。

 百戦錬磨の岩瀬が言う。「もう勝たないと意味はないので、セーブがつくとか、関係ないです」。丁寧な制球で、谷繁の構えるミットに正確に投げ込んでいった。9回2死からマウンドに上がり、難敵内川を一邪飛に仕留めた浅尾も「今日は本当に緊張した。負けたら終わりですから。森野さんがよく捕ってくれました」と胸をなで下ろした。

 落合竜の8年間を、ここで終わらせるわけにはいかない。ナインは同じ思いだった。終盤の継投を引き出したのは、先発吉見の好投だった。押しつぶされそうな重圧を、力に変えた。しかし表情はピクリとも変えない。冷静にボールを投げ込み、8回途中まで1失点。無四球だった。「正直、1つのプレーでガラリと状況が変わるんでドキドキしていました」。試合後に落合監督の信子夫人から握手を求められると、ようやく満面の笑みを浮かべた。

 両チームとも本拠地で勝てずに、3勝3敗で最終章を迎えた。指揮官は「何となくそういう予感を持っていました。何なんでしょうかね。別に霊感を持っているわけではないんですが、動き方を見てれば(ビジターの方が)伸び伸びやってますね」と言う。「これが2011年、今年最後の試合ですから。本当の天王山でしょう。そこに持ち込めたというのはやはり選手のおかげでしょう」。初めて「天王山」という言葉を用いて、最高の舞台に立つ。