<日本シリーズ:ソフトバンク1-2中日>第6戦◇19日◇福岡ヤフードーム

 また和田が和田撃ちだ!

 中日和田一浩外野手(39)が決勝打を放った。初回、対戦打率4割を超えるソフトバンク先発和田から右中間へ2点タイムリー三塁打。第5戦まですべて3人で攻撃を終わっていた“初回の呪縛”を打ち破った。落合監督を打撃の師匠と仰ぐスラッガーが、指揮官に最後にして、最高の「天王山」を用意した。

 王手をかけられた敵地での第6戦、勝敗を左右する場面がいきなりやってきた。1回2死一、二塁のチャンス。第5戦まで1回はすべて3人で凡退していた。先制できたのは第2戦の1度だけ。得意の先行逃げ切りに持ち込めていないことが苦戦の原因だった。

 和田も「名古屋では先制されて負けていた。絶対に打たないといけなかった。気合全開でいきました」と振り返るように、この打席の重要性を知っていた。相手は対戦打率4割を超える左腕和田。自信を持っていた。カウント2ボール2ストライクからの5球目。フォークにやや体勢を崩されながらも、確実にミートした。球足の速い打球は右中間を真っ二つに破った。2人を迎え入れる値千金の一打に「名古屋で3つやられた分、お返しできた。勝ててよかった。たまたま構えたところにボールがきた。体が反応してくれた」と納得顔で言った。

 打撃の師匠と仰ぐ落合監督に、最後の大一番を用意した。今シーズン、打率2割3分2厘、12本塁打と不本意な成績に終わった原因の1つに打撃フォーム改造があった。だが、後悔はなかった。左足を大きく上げる従来のフォームは動きに無駄が多く、体への負担にもなっていた。今後の野球人生も考えた落合監督が勧めてくれた。「僕もこれまでいろいろな人に教えてもらったけど、やはりNO・1だよ。感覚じゃなくて理論で言ってくれる。NO・1だよ」と、納得した上で取り組んだことを明かした。

 MVPを獲得した打者がわざわざ打撃フォームを変える必要があるのか-。周囲からは反対の声も聞こえたが、落合監督への信頼感と、少しでも3冠王の世界を垣間見たいという願望もあって改造へ踏み切った。

 「落合監督の下、僕らは勝つ野球を目指して、ここまでやってきた。明日も勝って終わりたい。悔いを残さないようにやりたい」。信頼する指揮官へ、最高のラストゲームを用意した主砲は万感の思いでこう言った。迷いはない。ここまでの全てを信じてバットを振り抜くだけだ。【鈴木忠平】