西武中島裕之内野手(29)が22日、ポスティングシステム(入札制度)による大リーグ挑戦を球団に申し入れ、容認された。メジャーでは日本人内野手の苦戦が続いているが、遊撃手で挑戦して成功したい意向を明かした。西武で入札制度の利用は、森、松坂、三井に続いて4人目。中島にはジャイアンツなど複数球団が興味を示しており、球団は入札金額にかかわらず、受諾する方針を示した。

 夢の扉がついに開いた。中島の表情は、いつにも増して晴れやかだった。「MLB挑戦を容認していただき、球団には感謝しています。ショートで挑戦したいというのがあります」と明確に意思表示した。日本を代表する遊撃手だった松井稼、西岡でも、メジャーの壁に阻まれてきた。現実的には三塁、二塁を守る可能性もあるが「絶対にショートで成功したい」という気持ちが強い。

 数年前からメジャー挑戦を直訴してきた。この日、球団に申し入れ、了承を得ることができた。会見に同席した居郷球団社長は「強い本人の希望、11年間貢献してくれた実績などを考え、承認する決断をしました」と説明した。入札時期を検討中で、入札金に対する球団スタンスは「金額によって(拒否)は考えていません。日本球界を代表する選手なので、それなりの金額は期待しています」。金額の大小にかかわらず、入札があれば受諾する方針を固めた。

 中島も水面下で準備を進めてきた。交渉役として、グレッグ・ゲンスキー氏との契約が内定。ヤンキース・サバシアら有力メジャー選手を多数抱える大物代理人で、米国内に太いパイプを持つ。すでに複数球団が獲得に向けて動いており、調査に熱心なジャイアンツをはじめ、オリオールズ、ブルワーズ、ドジャース、ダイヤモンドバックスなどが入札する可能性がある。中島は「どういう評価をされているか楽しみ」とその時を心待ちにした。

 きっかけは国際大会だった。08年北京五輪、09年WBC出場で芽生えた好奇心が、どんどん膨らんだ。「やるからには、きっちり結果を残したいと思います。自信はあります。ライオンズファンに喜んでもらえるよう、ニュースで出てくる活躍をしたい」と言葉に力をこめた。メジャー、そして遊撃手としての挑戦。日本球界を代表する中距離ヒッターに成長した29歳が、大きな夢を抱いて海を渡る。【柴田猛夫】