ソフトバンクが、なりふり構わぬ大幅譲歩案でエース慰留に乗り出した。FA宣言した杉内俊哉投手(31)と14日、福岡市内の球団事務所で残留交渉を行い、決裂原因だった変動制をあらため年俸固定制の4年契約総額22億円を提示。笠井和彦オーナー代行(74)が駆けつけ交渉の席に着くなど、最大限の誠意で巨人入り阻止に必死の逆襲を仕掛けた。(金額は推定)

 ソフトバンクがエース残留へ最大限の誠意を尽くした。交渉の席には球団の最高責任者である笠井オーナー代行がつき、1年間、話し合いを重ねても折り合いのつかなかった成果報酬型の査定制度を撤回。杉内の希望通り固定年俸型での4年契約を提示した。提示額は巨人の総額20億円を上回る総額22億円とみられる。

 笠井代行

 我々は杉内投手の残留を誰よりも強く願っている。他の球団へは絶対渡さないという気持ちがご理解いただけたと思う。球団だけじゃなくてファンの皆さんが望んでいることですから。

 当初、年俸変動制で4年契約の総額16億円の提示を受けた。だが成果報酬型は出来高払いの幅が広く、成績に大きく左右され不安定なもの。杉内は球団が導入した新制度に反発し、撤廃を求めてきた。8日に獲得交渉を行った巨人は固定制で4年契約総額20億円を提示。誠実な対応と原監督からの直電話を受け、心は巨人へと大きく傾き、移籍は確実視されていた。

 だが、ここにきてソフトバンクが杉内の希望をのむという「最後の切り札」を切り“お断り”を踏みとどまらせた形だ。さらに今回の交渉では、笠井オーナー代行と代理人の酒井辰馬弁護士(45)の間で成果報酬型の年俸制見直しについても話し合われた。

 笠井代行

 酒井先生と杉内投手の助言はありがたい。どの企業、球団も完璧な制度などない。いろいろな方面からご意見を聞きながらより良い制度をつくりたい。

 FA選手については年俸固定制か変動制かを選択できる案も示し、査定制度の改善も明言した。すでに巨人入りへの意志は固いとみられる杉内。球団が方針を変えてまで示した「最後のお願い」は、逆転打になるか-。【前田泰子】