巨人坂本勇人内野手(23)と寺内崇幸内野手(28)が8日、松山で行われているヤクルト宮本慎也内野手(41)の自主トレでの練習を公開した。守備の向上を目指して志願した“宮本塾”では、基本練習を徹底的に指導され、足元はフラフラ。5時間強の練習を終えた坂本は「きついとは聞いていましたが、きついです。でも、うまくなりたいし、いろいろ教えてもらって楽しいです」と笑顔で話した。

 きついランニングメニューを終えた坂本が、何げなくキャッチボールをしているときだった。隣にいた宮本が「もっと上から投げろよ」とひと言。この日は“宮本塾”に参加して2日目だったが「肩が温まればいいという感じのひどいキャッチボール。あれじゃ、うまくならない。たとえ短い距離のキャッチボールでもいいかげんにやるんじゃなくて、球の回転とかチェックしてやらないと」と話していた塾長の基本講座の始まりだった。

 約15メートルほど離れた距離から守る側の左に転がしたゴロを捕って投げるだけの練習だが「もっと右から入れ!」や「頭が下がっているぞ!」や「足が使えてないぞ!」などの指摘のオンパレード。少しでもグラブの芯を外して捕ると注意されるなど、細かなミスを厳重にチェックされた。約200球弱のボールは次々と転がされ、ヤクルトの期待の若手山田と寺内と順番で休む暇なく繰り返した坂本はヨレヨレ。3セットを終え、大の字になってグラウンドで休んだほどだった。

 昨年はセ・リーグワーストの失策数。守備範囲が広いため、一概に「坂本=下手」ではないが「基本が大事なのは分かっていますが、どうやればいいのか分かりませんでした。宮本さんは引き出しが多くてなんでも教えてくれます。きついけど、これをやればうまくなるという感じがします。守備がうまくなるために来たし、楽しいです」と守備力の向上に向けての手応えを感じていた。

 守備の達人師匠はライバル球団の若手指導に「うまくなりたくて敵地に乗り込んできたわけだし、意気込みがある。ウチの若手にも刺激になるでしょ。スローイング、ハンドリング、足さばきの基本が出来ていないけど、逆に言えば、基本ができればもっともっとうまくなる。楽しみだね」とコメント。坂本が最初に出場したオールスターでも、原監督の依頼を受けて指導したが、自主トレでの本格指導は初めて。今季は一皮むけた坂本の守備が、見られそうだ。【小島信行】