ヤクルト「ドライチ4兄弟」が意外なモノを賭けて戦う。05年ドラフト1位の村中恭兵投手(24)、06年増渕竜義投手(23)、07年由規投手(22)、08年赤川克紀投手(21)が今年の勝利数を競い、最も少ない投手が今オフに神宮近辺で本社商品のヤクルトを手売りすることになった。ヤクルトレディにはなりたくない?

 優勝のためには欠かせない4人が、切磋琢磨(せっさたくま)してチームを引っ張る。

 11年ぶりの優勝に向けて、「ビッグでビックリなプラン」が水面下で進行していた。年も近い村中、増渕、由規、赤川の4人が今年の勝利数を競う。最年長の村中は「高いレベルで競争できれば、優勝できる。負けたくないです」と闘争心を高めた。

 とまあ、ここまではよくある話。ユニークなのは、4人のうち、勝利数が最も少ない投手は、本社商品のヤクルトを手売りする計画を立てたことだ。「ヤクルトレディ」に扮(ふん)するまではいかないとしても、本社業務を体感。シーズン中は互いに刺激し合い、切磋琢磨した上で、最終的には本社の売り上げに貢献する。まさに「WIN」「WIN」の計画だ。

 昨季は村中が4勝(6敗)、増渕7勝(11敗)、由規7勝(6敗)、赤川6勝(3敗)だった。村中は右脇腹痛、由規は右肩痛などで離脱。4兄弟の末っ子「ジャイアン」赤川が、8月からローテーション入りし、救世主的な存在になった。

 早速2日は、「次男」増渕が4人の中ではただ1人、2日連続でブルペンに入った。前日の155球に続き、30球。「今までは6回から(体力が)落ちた。せめて7回までは持たしたい」と体力アップを課題にする。今日3日も3連投を志願し、先発専念に目の色を変えている。

 由規は左足小指に雑菌が入り、別メニュー調整中だが順調に回復している。「去年は悔しい思いをしたので、取り返したい。(競争は)意識せざるを得ないですね。負けたら無料でコマーシャルに出ます」と笑った。赤川は「負けたくない、というか売りたくない(笑い)。競い合って優勝に貢献したい」と話した。

 さらに、もし仮に4人の勝利数が合計で40勝に届かなかったら…。今秋のファン感謝祭で、4人そろって「AKB48」に仮装するプランも進行している。いつまでも石川、館山に頼り続けるわけにはいかない。4人の活躍なくして、11年ぶりの優勝はない。すべてをモチベーションに変えて、勝負のシーズンに向かっていく。【前田祐輔】