ソフトバンク3年目の今宮健太内野手(20)が、ポスト川崎の最有力候補に浮上した。紅白戦が雨天中止となった15日、秋山幸二監督(49)から室内練習場で1時間10分、つきっきりで打撃指導を受けた。昨季までのレギュラー川崎宗則内野手(30)がマリナーズにFA移籍し、遊撃の定位置が空いている。指揮官の期待と徹底指導を受け止め、定位置をつかみ取る。

 紅白戦が中止となった室内練習場で、秋山監督は今宮につきっきりとなった。ティー打撃で腰のあたりを押さえ、下半身の使い方を教え込んだ。ときおり身ぶりを交えながらの熱い指導は40分間、続いた。全体でのバント、バスター練習に今宮が加わると一時休止。終わるとすぐに呼び寄せ、さらに30分間の「おかわり」。自身がイベントに出席する時間になり、ようやく終了。教え足りなかったのか残念そうにつぶやいた。

 秋山監督

 せっかくコツをつかみかけてきたのになあ。コツをつかめば、すべてうまくいきそうなんだけど…。

 川崎の移籍で空いた遊撃手の最有力候補は明石と見られていたが、右肩痛でB組(2軍)調整と出遅れた。ここまでの動きを踏まえ、3年目の今宮に白羽の矢が立った。昨季は守備と代走で18試合に出場したが、打席には1度しか立てず、初安打は今年に持ち越されている。レギュラーを取るには打撃向上が課題だ。自主トレでは、首位打者に輝いた同郷大分の先輩内川に弟子入り。通算62本塁打を放った高校時代のように、気持ちよくバットを振ることを心がけた。

 今宮は、必死さを隠さない。「守備には自信があるんですけど、打撃で結果を出さないと、アピールできない」。シート打撃で2三振に終わった12日には、秋山監督から全体練習後に打撃指導を受けており、今回はその続き。ただ、これほど長い時間つきっきりだったのは初めてで、それだけ期待が大きいということだ。

 今宮

 下半身の使い方を教わりました。監督から直接教えてもらえることはありがたいです。チャンスはいただいているので、結果を出さなければ。

 秋山監督は「コツだよ、コツ。コツをつかんだらスーッといきそうなんだ」と話した。通算2157安打の指揮官も、今宮の打撃開眼は近いと感じている。強力プッシュを受け、3年目の若鷹が遊撃の守備位置をつかみ取る。【前田泰子】