2012年、無敵巨人軍の4番は、阿部慎之助捕手(33)で開幕する。東京ドームで全体練習を行った28日、原辰徳監督(53)が開幕4番を公表した。オープン戦では、DeNAからFA移籍した村田修一内野手(31)の4番を繰り返し試したが、原監督は枢軸の中の真の軸として、阿部を指名した。

 開幕を2日後に控えた東京ドームで、原監督は、よどみなく言った。「4番は慎之助で行きます。いまいち本調子ではありませんが、ある種、慎之助のチーム。代表選手として大いに暴れ、躍動してもらいたい」。まさにチームの顔。オープン戦は打率1割9分1厘と低調だったものの、4番は主将の他にはいないとばかりに、全幅の信頼をにじませた。

 キャンプ以前から4番大本命は阿部だった。坂本、長野に加え、村田と阿部の4人の軸を「イー、アル、サン、『枢軸』」と独特の表現で今季の看板と位置付けた。阿部と村田の打順は並べることで、相手へ重圧を与え、得点力のアップを狙う。その枢軸の中心に阿部がいる格好だ。

 オープン戦最終戦、24日のDeNA戦も4番は村田だった。それは、阿部の守備位置が消耗の激しい捕手のため、時折の欠場を想定し、オプションとして「村田4番」を準備していた。この日も原監督は「2人が3ケタの打点を挙げるポイントゲッターにと期待している。あの、サッカーの香川くんみたいに」と、ドルトムント香川のような決定力を阿部に求めた。

 通告は「まだ」という。それでも原監督は「当然『私が4番。私が打たずにだれが打つ』。そう言わなくても、そうした自負のもと取り組んでいるでしょう」と話した。あうんの呼吸。阿部は「頑張ります」と、短い言葉に決意を込めた。【金子航】