<ヤクルト1-1中日>◇25日◇神宮

 前人未到だ。中日谷繁元信捕手(41)が、プロ野球新記録となる、新人からの24年連続本塁打をマークした。1点を追う7回、石川から左翼へ1号同点ソロ。23年で並んでいた張本勲、門田博光を抜いた。山崎と野本がインフルエンザで、森野が故障で離脱する中、ベテランが存在感を示した。ドローで首位をキープした。

 谷繁のメモリアル弾はライナーで神宮の左翼席最前列に飛び込んだ。6回まで抑え込まれてきた石川に浴びせた同点ソロ。チームの敗戦をも防いだ貴重な1発は、偉大なるスラッガーを超えた瞬間でもあった。江の川高から88年ドラフト1位で大洋(現DeNA)に入団した男が、新人から24年連続で本塁打を放った。並んでいた張本勲、門田博光の往年の本塁打者を抜き、プロ野球界のトップに立った。

 真っ先に口にした言葉は喜びではなかった。「うまく反応できた。抜けたかなと思って走ったんだけど。勝てれば良かったけどね。うまいこといきませんね。でも負けるよりはいいかな」と、捕手らしく、引き分けに対する複雑な心境だった。チームはこの日、山崎と野本がインフルエンザで出場選手登録を抹消された。森野も故障で離脱した。開幕の3番と4番が消える大ピンチ。この本塁打がなければ鬼門の神宮で連敗し、並んでいた首位を明け渡すところだった。まさにベテランの危機1発だった。

 「たかだか200本しか打ってない。でも現実としてやれている。支えて下さった方に感謝したいです」と、感慨は深かった。連続弾記録は新年早々の横浜自主トレから意気込んでいた。「毎年20本、30本打った張本さんや門田さんとかと違って、僕は毎年1ケタ。でもほそぼそだけど、自分でもよう打ってるなと思う。名前が残るのはいいことだから1本打てるように頑張る」。そしてもう1つ、日本記録を挙げた。それは昨季、CS、日本シリーズを合わせて43打席無安打で終わったポストシーズンのワースト記録を止めること。2つの日本記録への挑戦が、3連覇と並ぶモチベーションとなっている。

 9回にもマルチ安打となる右前打。11回は体を張ってサヨナラ走者の生還を阻止し、引き分け試合を締めた。「今まで通り自分たちのできることを精いっぱいやるしかない」。主力が続々と戦線を離脱し、今後もチームは苦しい戦いを強いられる。だがベテランの奮闘がチームの進むべき道を示した。3連覇へ、頼れる男がいる。【松井清員】

 ▼谷繁が今季1号を放ち、プロ1年目の89年から24年連続で本塁打を記録した。24年以上続けて本塁打を打ったのは野村(西武)25年に次いで史上2人目。野村はプロ3年目から続けたもので、プロ1年目の54年、2年目の55年は本塁打0。谷繁のプロ入り24年連続本塁打は、張本(ロッテ)門田(ダイエー)の23年を抜くプロ野球新記録となった。野村は25年のうち2ケタ本塁打が21年あるのに対し、谷繁の10本以上は8年だけ。長距離砲ではない谷繁が本塁打を打ち続けている。