<広島6-8阪神>◇8日◇ハードオフ新潟

 越後の虎は上杉謙信、越後のトリは決勝2ラン!

 義を貫いた上杉武士のように、誇り高きバットマンが乱打戦にけりをつけました。前回、甲子園で完璧に抑えられた広島ミコライオに浴びせた2号2ラン。「かえせる1番」の1発で、ニックの3連発を含む4発被弾の試合に勝利した。新潟の空に、虎お目覚めの雄たけびが響いた。

 白球が彗星(すいせい)のように夜空を流れていく。鳥谷敬内野手(30)はどこまでもクールに、乱戦に終止符を打った。6-6同点の8回2死一塁。ミコライオの真ん中150キロを見逃さない。ヘッドをやや寝かせた新フォームからスムーズにバットを出す。ライナーが右翼席最前列に着弾。「それはファンの方々に聞いてください」と照れ笑いしたが新潟の虎党はしびれたはずだ。

 鳥谷

 なんとかつないで一、三塁とか、そういう形を作れたらと思っていた。真っすぐだけを考えて。風もあったんで、ラッキーっちゃあラッキーでしたね。

 同点の6回2死一、二塁では四球を選び、2番平野の勝ち越し押し出し四球につなげた。7回裏に筒井のけん制悪送球で再び同点とされ、今度は嫌なムードを吹き飛ばした。4月10日広島戦以来の2号は決勝2ランだ。新1番に就任して3試合目。「どの打順でも走者がいればかえす、いなければ出塁するだけ」。打順にとらわれないスタイルで、熱戦に幕を引いた。

 5月最初の名古屋遠征からフォームが変化した。構える際、これまで立てていたバットのヘッドを斜めに寝かせた。巨人高橋由をイメージさせるフォームでバットが出やすくなったのか、これで6戦連続安打。常に試行錯誤する男にも、変わらぬルーティンがある。

 ミリ単位の感覚を大事にする。2月キャンプ、鳥谷はフリー打撃、試合でバットを目いっぱい持つ。それが3月オープン戦では、ほんの少しだけグリップエンドを余す。さらにシーズン開幕後は、指1本ほど余してグリップを握る。例年続けているスタイルだと言う。

 鳥谷

 毎年キャンプでは長く持つ。少しでも強く振る力をつけるためにね。そこからシーズンに向けて、ちょっとずつ短くしていく。もう昔からですね。

 ティー打撃では必ず、左手1本での振り込みを行う。巨人小笠原も取り入れている手法は軸回転を意識する狙いがある。いい練習法は継続しながら、常に最良の形を追い求めている。

 直前までの9連戦は1勝6敗2分けと大きく負け越し、借金1を背負っていた。「勝てたのが一番良かった…」。10試合連続2得点以下と沈黙していた打線が奮起し、勝率5割に復帰。かえせる1番打者、野手キャプテンはやはり、頼りになる。【佐井陽介】