<日本ハム3-4西武>◇13日◇函館

 西武涌井秀章投手(25)が、復活に向けたプロ初セーブを挙げた。1点リードの9回に登板。2死一、二塁のピンチを招くも、小谷野の遊直を中島が好捕しゲームセットの瞬間を迎えた。開幕から不調が続いたエースを復活させるため、渡辺監督が与えた守護神の座。涌井は今季最速の149キロをマークするなど、しっかりと第1歩を踏み出した。新しい勝利の形で、チームは最下位を脱出した。

 ハイタッチの輪の中心にいた涌井は、少しだけ笑った。風景は同じなのに、湧き上がる感情は、完投時のものとは違った。「自分が作ってきたゲームじゃない。8イニング分の流れとか、(チームメートの)気持ちがある。気持ちを入れた」。チームの全てを背負ったマウンドで、プロ初のセーブを刻んだ。

 2日の練習後、渡辺監督から監督室に呼ばれた。涌井によれば「5分くらい」と振り返る会談の中で、守護神転向を言い渡された。そこには、指揮官のエース復活への思いがあった。

 渡辺監督

 今のままのピッチングスタイルでいいのかと。2軍で先発調整させて、どれだけ変わり身があるかなと。復活のためにアクションを起こさないといけない。(抑えの経験を)新たなスタイルを見いだす、いいきっかけにしてくれれば。責任感をもたせたりね。

 突然の指令に、涌井は「最初は『えっ』としか思わなかったけど、すぐに切り替えた」と言ったが、2軍では自分を変えるために、ひた向きに汗を流した。新人の十亀ら若手とともに徹底的な走り込み。1本もリードを許さず、ゴールを繰り返すほど、一瞬一瞬に復活への思いを込めた。強風、荒れたマウンドでも今季最速の149キロをマークしたのは、必然の結果だった。

 4月15日のオリックス戦後に2軍降格。「やっていることと思っていることが全然違う。(チームのことを考える)余裕もないです」とボロボロの状態からのカムバックだった。渡辺監督は「ずっと抑えをやるわけじゃないけど。ボールの力は先発の時よりもある」と変化を認めた。「1点差でセーブがつく場面。しびれました」と涌井。指揮官が用意した復活ロードに、エースが結果で応えた。【久保賢吾】