<広島6-6中日>◇13日◇マツダスタジアム

 広島ニック・スタビノア外野手(30)が、ひと振りで負け試合を引き分けに持ち込んだ。1点を追う8回1死三塁で、昨季セ・リーグMVPの浅尾拓也投手(27)から起死回生の中前同点打を放った。16日からは昨季12球団最下位の勝率2割7分3厘と苦しんだ交流戦。4番ニックの勢いに乗って巻き返せ!

 パワーで勝った。1点を追う8回1死三塁。4番ニックは、大きな期待を背負い打席に立った。マウンドには昨年MVPの浅尾。1ボール2ストライクと追い込まれてからの、4球目だった。内角136キロのフォークはボール球。だが、スイングを始めていた大砲は、ドン詰まりになりながらも、力で中前まで持っていった。再び同点に追いつく一打に、ニックは一塁上で両手をたたいた。

 ニック

 内野が前進している状況で、とにかく外野に飛ばそうと思った。終盤の得点圏で、相手もいい投手で打てたのはうれしい。打たなければいけないと思っていた。

 チームが浅尾を攻略するのは今季3度目だ。2回には今季初の1イニング4得点、1試合に2度追いついたのも初めて。苦手中日に、今カード1勝1敗1分けの五分と踏みとどまった。交流戦前に、ひとつ弾みをつけた。

 本来の外野でなく、初めて一塁手として出場した。栗原が離脱後、5月3日の巨人戦(東京ドーム)の試合前から練習に励んでいた。この日も、試合前に東出からショートバウンドを投げてもらい準備を整えた。6回1死一塁から、一塁前のバント処理では連係ミスを犯したが、手応えはある。

 ニック

 問題ないし、違和感ない。1回ミスはしたけど、内野手とも話し合えば大丈夫だと思う。

 野村監督も「これからも、あるかもしれない。レギュラーの栗原が、いないわけだから」と及第点を与えた。

 単身で乗り込んだ異国での活躍を、天国の母にささげた。母デイビーさんは、12歳のときに他界した。「アメリカでは(時差があるため)まだ、母の日じゃないからね。家に帰ったら、妻と相談して電話するよ」。米国に住む愛妻の母に、実母の分まで思いを伝える。

 心優しい大砲は、8試合連続安打で「頼れる4番」となりつつある。主砲の活躍が、チームを浮上させる。【鎌田真一郎】