<阪神1-3日本ハム>◇16日◇甲子園

 交流戦でも打てないの?

 なんて嘆いても始まらない。初対戦の日本ハム吉川を打ちあぐね白星を献上。4月4日以来の4位に転落したが、希望は3戦連続打点の3番マット・マートン外野手(30)だ。6回に右中間へ追撃の適時二塁打。虎打線のキーマンが今年も得意の交流戦で暴れそうな予感が漂った。

 マートンが一矢報いた。いくら好投続きの左腕とはいえ、まだ24歳の吉川に無得点では終われない。0-2と2点ビハインドで迎えた6回2死一塁。2番平野が四球を選んだ直後、初球を狙い打った。

 前打席よりポイントを前に置き、外角135キロ直球をミート。右手を離して大きくフォロースルーを取ると、ライナーが右中間を割った。1点差に迫る適時二塁打で、逆転ムードを一気に高めた。

 マートン

 右打者に対して内に来るようなボール、手元に来るボールを引っ張ろうとすると詰まった。だからアジャスト(微調整)して、もうちょっと手前で打とうと思ったんだ。

 間違いなく打率2割台前半をうろちょろする選手ではない。打球の質がそう証明していた。驚くほど広いストライクゾーンに戸惑いを隠せず、いまだ本塁打はゼロ。ただ復調の兆しは確かに見えている。

 自分が思うストライクを打ち、ボール球は見逃す-。10日の横浜練習中に我慢のスタイルを心に決めた。12日DeNA戦を終えた時点で今季の通算四球はわずか1だったが、翌13日同戦で2四球をゲット。M砲自身は冷静に状態を分析した。

 マートン

 結果として数字には表れていないかもしれないけど、シーズンを通して全体的にスイングはそこまで悪いと思っていないからね。

 昨季は交流戦通算打率が3割4分。「パ・リーグの方がストライクゾーンで勝負してくるから、いい」。ポジティブな印象を脳裏に焼きつけ、最高の1カ月間を送るつもりだ。

 マートン

 今日は負けたことが一番残念だよ。自分がどれだけ打点をあげても、負けたことが大きい。ピッチャーが3点以内に抑えてくれたのに、バッターが打てなかった。

 悔しさと反省は隠さなかった。一夜明ければ、リベンジの舞台がやって来る。マートンの目はギラついたままだった。【佐井陽介】