<ヤクルト13-4ロッテ>◇8日◇神宮
ラテン系の陽気な男も、静かに喜びをかみしめた。2回、復帰した最初の打席。ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(27)はロッテ藤岡からバックスクリーンにたたき込んだ。「ファームでやってきたことを出そうと思った。結果になってうれしい」。来日中の夫人から「あなたはいい選手なんだから大丈夫」と勇気づけられながら待った1軍復帰。華々しく飾れたことにホッとしたようだった。
不調に陥ったバレンティンを2軍に落としたのも、1軍に戻したのも、小川監督には思い切りが必要な決断だった。去年も不調に陥ると長引いたバレンティン。今年もその兆候が出始めていた。審判への不平。カバリングを怠るプレー。試合中のツイッター。それらはチームの士気まで脅かしかねない。打線にいれば相手に脅威を与える存在なのは分かっていたが、連敗中に再調整を命じた。
呼び戻すのも先発ローテーションの一角で勝ち頭のロマンを抹消しなければならなかった。それだけの代償を払うものをバレンティンに求めていた。この日試合前、小川監督はバレンティンに「みんな勝つためにやってる。カバリングとか、できることをしっかりやってくれ」とくぎを刺した。
この日のバレンティンは本塁打だけではなかった。小川監督の注文どおり、全力疾走もカバリングも怠らなかった。3安打3打点の活躍はチームの13得点の呼び水になった。「落としたかいがあったと言ったら失礼だけど、とりあえず良かった。彼の野球人生のプラスになってくれればと思う」。一番ホッとしたのは小川監督だったかもしれない。【竹内智信】



