<楽天2-6DeNA>◇20日◇Kスタ宮城

 8年目で待望のプロ初安打だ。楽天定岡卓摩内野手(25)が、交流戦最終戦となったDeNA戦に「8番右翼」でプロ初出場、初スタメン。第1打席は3球三振だったが、第2打席で左翼線へ二塁打を放った。この日初めて1軍に登録。チームは負けたが、3打数1安打とアピール。ソフトバンク、ロッテに続き3球団目。元南海の定岡智秋氏を父に持ち、定岡ファミリーとして注目を浴びた苦労人が、遅まきながらスタートラインに立った。

 がむしゃらにスイングした。定岡の第1打席、左腕藤井の前に空振り三振。変化球3球にバットが空を切った。それでも第2打席。「最初の打席で振らされた感じがしたので、右方向を狙った」と、積極性を失わず初球のチェンジアップを左翼線に運んだ。懸命に走った。二塁を陥れプロ初安打が長打。大きな歓声に「素直にうれしいです。最初の試合で(安打が)出たので、ほっとしましたね」と初々しく振り返った。

 やっとたどり着いた舞台だった。元南海の定岡智秋氏を父に持ち、叔父は元巨人の正二氏。プロ入り当時から定岡ファミリーとしても注目を浴びた。それでも「自分は自分と思っていたので」と周囲の過度の期待は気にしなかった。ソフトバンク、ロッテを戦力外となり、昨年楽天に移籍。しかし2月のキャンプで右膝を痛めてリタイアし、約2週間リハビリを余儀なくされた。七転び八起きの野球人生にも「まぁ、そうっすね」とケロリと話す。幾度の苦難にも負けず、乗り越えてきた。

 2軍で打率2割6分、3本塁打、18打点の結果を残し、プロ8年目で初めて1軍に合流した。昇格の連絡を受けたのは、17日の夜。その日は父の日だった。現在は四国アイランドリーグ高知で監督をしている父には、翌日電話で報告し「良かったな。頑張れよ」と激励を受けた。父の影響もあり、小4から始めた野球。自然と背中を追い、そして同じプロ野球の道に進んだ。定岡ファミリーの子でプロ入りしたのは卓摩1人だけ。長い年月をかけての1軍でも、家族にとってはうれしい知らせだった。

 ただ、戦いは始まったばかり。この日は3打席で計5球、全て積極的にスイングした。「振ろうと思っていたので」と思い切りの良さを全面に出した。星野監督からも「チャンスがあれば使っていくよ」と評価された。遅咲きの25歳。本領はこれから発揮する。【斎藤庸裕】

 ◆定岡卓摩(さだおか・たくま)1986年(昭61)10月17日、大阪府生まれ。福岡工大城東3年時の04年センバツ8強。救援登板で自己最速146キロも計測。高校通算36本塁打。04年ドラフト7巡目指名で「ソフトバンク1期生」に。06年戦力外、07年からロッテでプレー。11年オフに戦力外で楽天へ。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸は500万円。