悪夢の逆転負けの7時間ほど前、右膝を負傷して2軍調整中の阪神藤川球児投手(31)が、救援陣に異例のエールを送っていた。3日、大阪府内の病院で定期検査を受け、甲子園の室内練習場でトレーニング。順調なら6日にも1軍合流できる見立てだが、その前にチームメートに向け言葉を発した。

 藤川

 (救援陣は)全部、そろっていないし、大切なところが抜けて、そうなる。いまは苦しいけど、チャンスはチャンス。いる選手はポジションを作るチャンス。僕もポジションを奪われるかもしれないし、そうなってもいいけど、そこは競争になってくる。

 チームは藤川と福原を欠いて苦戦中だが、若手には売り込み時。だからこそ、鶴や二神らの発奮を期待した。藤川も04年、セットアッパーのリガンが故障離脱後、好投を続けて信頼を勝ち取った経緯がある。

 若虎の突き上げを受けて立つためにも、完璧な状態に整える。この日は雨でシート打撃登板を回避。今日4日にも仕切り直しの「最終テスト」を行う予定だ。

 藤川

 打者に投げる感覚というより、投げてみて膝がどういう状態か、ということ。最終的な状態の確認をしないと。(1軍復帰が)いつかは分からない。戻ったら(シーズンの)最後までいないといけない。

 若手の奮起を促す一方で、自身は慎重に調整を進める。藤川の言葉に、もどかしさがにじんでいた。【酒井俊作】