<オリックス3-4日本ハム>◇5日◇京セラドーム大阪
珍プレーで沸かせ、バットでは魅せた。日本ハム中田翔内野手(23)がオリックス戦の2回1死一塁で、竹原の左前打を処理した直後に足を取られて前方1回転。すぐさま体勢を直して三塁を狙ったT-岡田を刺し、ミスをカバーして今季リーグ最多7度目の補殺を決めた。6回にも山崎浩の打球を後逸したが、打では2安打2打点と貴重な得点源に。「中田劇場」のチームは1分けを挟む連敗を4で止め、2位をがっちりキープした。
90キロを超える中田の巨体がゴロリと転がった。2回1死一塁の守備だ。竹原の左前打を処理すると、スパイクの刃を人工芝に引っかけて、こけた。「スパイクが引っかかった。転んだ瞬間、やばいと思った」。だが、うまく1回転して体勢を立て直すと、転がる中田を見て三塁を狙った一塁走者T-岡田を三塁で、ワンバウンド送球で刺した。「たまたまアウトになってよかった」。結果的には“トリックプレー”のような形になり、リーグトップを独走する7つ目の補殺を完成させた。
2イニング連続で走者を許し、立ち上がり不安定だった先発八木を援護するビッグプレーになった。単純なヒットになっていれば1死一、二塁。もしも転んだまま走者の進塁を許していたら1死二、三塁とピンチが続いていた場面。だが正確なスローイングで、「こける」という笑えない凡ミスを、笑って振り返られる好プレーに変えた。
6回には打球判断を誤って単打を三塁打にしてしまい、「ここ(京セラドーム大阪)は打球がはねる。勝負にいったんですけど、悔いが残る。練習します」と反省ばかりが口を突いて出たが、バットでも2安打2打点でチームの連敗ストップに貢献。「いい形で点が取れてよかった」と、安堵(あんど)した。
“珍プレー”はグラウンドの外でもあった。先月28日は、マンツーマンで打撃指導を続けてくれている福良ヘッドコーチの誕生日。“師匠”へ近づいた中田が「おめでとうございます」と手渡したのは、メルセデスベンツのミニカーだった。「おい、翔。もっと大きいの(本物)がいいんやけど…」。実はこれ、缶コーヒーについていたおまけ。それを大胆にもコーチにプレゼントする(しかもむき出し)中田のいたずら心は天下一品だが、福良ヘッドコーチをはじめ、周囲は爆笑。雰囲気を和ませた。
珍プレーあり、陽岱鋼の豪快な1発あり、救援陣の好投ありで、6月28日以来1週間ぶりの白星を手にした。栗山監督は「(連敗が)止まったことはひと安心。でも、明日どう戦うかしか考えていない」。ハラハラドキドキのエンターテインメント野球を掲げる指揮官のもと、144試合の半分を終えて、この日がちょうど再スタート。打線の核にいる4番中田が、打って守って、こけて、…そして勝つ。ドラマチックな演出を実践した。【本間翼】



