<日本ハム0-5ソフトバンク>◇7日◇札幌ドーム
大器がベールを脱いだ。ソフトバンクのドラフト1位ルーキー武田翔太投手(19)が、プロ初先発で初勝利を挙げた。最速152キロの直球と前日解禁したばかりのチェンジアップを武器に、日本ハム打線を6回1安打無失点に抑えた。甲子園出場はないが、宮崎日大時代には「九州のダルビッシュ」と騒がれた。七夕の日に誕生したニューヒーローは「ホークスの救世主になります」と力強く宣言した。
武田は人懐っこい笑みを浮かべてウイニングボールを握った。宮崎の両親に向けて「やったぞー」。テレビ画面を通じて無邪気に叫んだ。「(七夕で)願掛けしてたのでよかった。うれしいの一言です。楽しんでやろうがモットーです」。緊張でガチガチになってもおかしくない1軍初先発の舞台を、笑顔で楽しんだ。
プロ第1球、真ん中に151キロの直球を投じると観客席がざわめいた。同じ高卒新人で、既に3勝の楽天釜田の動く直球とはちょっと違う。「きれいな真っすぐで150キロ台をコンスタントに出したいんです」。自己最速の152キロを含め150キロ台を11球。こだわりの球を187センチの長身から角度よく投げ込んだ。
若々しい真っすぐだけではない。多彩な変化球で日本ハム打線を翻弄(ほんろう)し、二塁すら踏ませなかった。3回からはチェンジアップを多投。プロに入ってから使っていなかった球種だが「昨日(6日)に試しに投げてみた。ほとんど空振りが奪えました」とあっけらかん。5回には稲葉に1ボール2ストライクから大胆に投げてタイミングをずらし、見逃し三振を奪った。
心優しい19歳は、マウンドでは鬼のようになりたいと、グラブの内側に「阿修羅(あしゅら)の心」と刺しゅうしている。手のひらの中では闘争心を奮い立たせつつ、見た目は落ち着いた笑顔でマウンドに立つ。「試合になったら年齢とか関係ない」。高校時代に心理学の本を20冊以上読んだ右腕にはベテラン投手のような風格すら漂っていた。
ウエスタン・リーグでは4試合に登板。うち3試合で先発して防御率は1・59。今季5勝の新垣が登録抹消、3年目左腕の川原が調子が上がらないなど苦しい台所事情で、抜てきされた。「チームが厳しい状態なので救世主になりたい。将来のエースになるつもりで頑張りたい」。そう歯切れよく言い切る新人に、秋山監督は「落ち着いてやってくれたね。高い目標を持ってやってほしい」と目を細めた。将来のエース候補は最高の形でプロの第1歩を踏み出した。【石橋隆雄】<武田翔太(たけだ・しょうた)アラカルト>
◆メジャー
1993年(平5)4月3日、大分・別府市生まれ。宮崎・住吉小3年で野球を始める。住吉中3年時に県大会で優勝し、九州大会出場。母和子さんによると「メジャーに行きたい」と言いだしたが、監督に「まず日本やろ」と言われ、自宅から近い宮崎日大に進学。187センチ、84キロ。右投げ右打ち。
◆甲子園未経験
宮崎日大では1年秋からエースで同年秋の九州大会に出場した。3年夏は宮崎大会準々決勝で11奪三振ながら0-1で敗退し、甲子園には出場できなかった。
◆柔軟
高校時代に本で筋肉や骨などを勉強した。肩周りは肩甲骨や関節を自在に動かせるほど柔軟。最速152キロの直球とカットボール、スラーブ、カーブ2種類、スライダー2種類、チェンジアップ、シュートを投げる。趣味は将棋。



