<日本ハム0-0ロッテ>◇11日◇札幌ドーム

 バットが駄目なら、肩で魅せる。日本ハム中田翔内野手(23)がまたも、レーザービームを披露した。延長11回2死一、二塁、角中の左前打で均衡を破るホームを狙った岡田を好返球で刺し、リーグトップの補殺数を8に延ばしてピンチを救った。チームはその裏1死満塁の好機を生かせず、今季両リーグ初となった延長12回ゲームはスコアレスドロー。2位に踏みとどまった。

 もはや長打力と並んで中田の代名詞となった「レーザービーム」が、右腕から放たれた。延長11回2死一、二塁のピンチ。ロッテ角中の打球は、ワンバウンドで中田のグラブに収まった。視線を上げる。俊足の二塁走者岡田は、三塁を蹴った。「前進守備だし、普通にいけば、アウトにできると思った。当たり前のことを当たり前にしたいと思う」。一流の肩対一流の足。軍配は中田に上がった。ノーバウンドで決め、リーグを独走する8つ目の補殺。両軍「0」が12個並んだ緊迫のゲームで、勝敗を左右するワンプレーだった。

 前日10日の同カードでも、フェンス手前の大飛球をジャンピングキャッチで好捕した。「1点の怖さ、重みは味わってきている」。バットでは21打席無安打と苦しんでいるが、2戦連続で守備の貢献度は大きい。栗山監督も「よくストライクを投げた。力んでそれたらセーフ」と目を細めた。

 アマチュア時代から、規格外のパワーで怪物と騒がれた。「(プロ入り前まで)すごいと思ったヤツはいない」。打撃には絶対的な自信を持ってきた。だが、プロに入り、口癖のように使う言葉ができた。「守備は自分が一番下手だから」。特に鉄壁の守備を誇る日本ハムだけに、高いレベルの中で、ついていくのに必死だった。

 守備の楽しさを教えてくれたのが、清水外野守備走塁コーチ。気を抜けば叱られ、好プレーをすれば笑顔で迎えてくれる。「(笑って)あのクシャってなる顔を見るとうれしい。また頑張ろうと思える」。目標の1つにゴールデングラブ賞獲得が加わった。「ホームラン王、打点王を取るよりも難しいと思う」。ハードルが高いからこそ、そこにはやりがいがある。

 チームは7月に入って、3度目の引き分け。栗山監督は「負けないということが大事。まず守って点を与えないというのは、このチームのベース」と試合内容には満足した。息詰まる熱戦で光った、中田の技。ファンも満足して家路についたに違いない。【本間翼】