<阪神1-2中日>◇11日◇甲子園

 起死回生の和田プランが、もろくも崩壊した。阪神和田豊監督(49)は、球宴までの12戦で9勝3敗のノルマをぶち上げたが、5戦目でリミットを超える4敗目。中日投手陣を打ち崩せず、9回2死から一塁走者上本を走らせる勝負手も裏目に出た。球宴までの借金完済は幻となり、いよいよ追い込まれてきた。

 最後はあっけない幕切れだった。1点を追いかける最終回、2死一塁で打席にはマートン。カウント2-2。この局面で代走・上本がスタートを切った。難攻不落の岩瀬を攻略するための勝負手だったが、結果は盗塁死。頼れる助っ人はバットを振ることなくゲームセットを迎えた。

 これで前半戦を負け越しで終えることが決定した。試合後、和田監督は険しい表情のまま会見場にやってきた。伏し目がちに1つ、1つの言葉を絞り出した。

 「立ち上がりがね。向こうが同点でも(OK)というシフトを敷いてきたことで…。(大野は)初登板で緊張していたし、あそこで流れを持ってこないといけなかった」

 指揮官は、初回がすべてだと振り返った。先発岩田が2点を先制された直後、打線は今季初登板の大野を攻め立てた。変化球でストライクが取れない2年目左腕に対して、無死二、三塁から鳥谷の内野ゴロの間に1点を返した。だが、ここから続かなかった。開き直ったようにストレート勝負を挑んできた大野に対し、新井は空振り三振。金本も右飛に打ち取られた。

 その後もチャンスはあった。毎回のように走者を送り、6回1死一、二塁というチャンスがきた。打席には7番大和。桧山、ブラゼルも控えていたが、大和に託した。強い打球を放ったものの、結果は最悪の併殺打。ことごとく、裏目に出てしまった。

 和田監督は7月5日、松山での練習前、指揮官がチーム全員を集めた。そこで球宴までの残り12試合を「9勝3敗」で乗り切ると宣言した。前半のうちに借金を完済するためのノルマだった。だがそれから3試合目で自力優勝の可能性が消え、5試合目で5割ターンの可能性もなくなった。指揮官は厳しい現実について、表情を固くしたまま言った。

 「今日も本当は、昨日苦しみながら取ったから、ガーンと行きたかったけど、まだ、チーム自体が乗り切れていない」

 必死の継投で1点差を守りきった前夜の勢いを期待していた指揮官の口調は沈んだ。ただ、すぐに自分に言い聞かせるように、言葉をつないだ。

 「ただ、そんなことは言ってられない。1つでも(借金を)少なくして、1戦、1戦やっていきたい」

 相手の先発ローテーションの“谷間”で星を落とした。ショックがないはずもない。それでも、和田阪神はファイティングポーズを取り、明日へと向かうしかない。【鈴木忠平】