5位からの逆襲を期すチーム同様、営業サイドも巻き返しへ向けて動く。阪神の本拠地甲子園でスタンドを改造する仰天プランが浮上した。動員増のメーン・ターゲットとなるファミリー層向けに相撲のマス席のような「ファミリーボックス」を設ける構想。前日12日、中日戦の観衆3万170人は今季最低記録。年々落ち込む観客動員に歯止めをかけようと手を尽くす。

 ペナントレース5位からの逆襲を目指すチーム同様に、球団サイドも集客面での巻き返しへと動いていた。関係者によれば、観客動員を増やすためのアイデアの1つとして“ファミリーボックス構想”が浮上しているという。

 「お客さんの中ではやはり、家族連れの方が多いと思います。だから、特に家族連れの方が球場に行きたいと思ってくれるようなアイデアを考えています。家族が一緒に1つの空間で見られるような席があればという声もあります」

 甲子園の席は内野から外野まですべて1席ごとに区切られている。これを相撲のマス席のように、家族が寝ころんだり、あぐらをかいたりしながら、リラックスして観戦できるようなシートに改造できないかというプランだ。広島の本拠地マツダスタジアムの外野に設置されている「寝ソベリア」のようなイメージだ。

 「高校野球もありますから、現実問題として座席を改造するというのは難しいかもしれない。ただ、何かを上からはめることで、家族シートにできる可能性もあります」

 関係者が言うように、高校野球の聖地でもある甲子園だけに、座席をダイレクトに改造することにはハードルがある。現状の座席の上にシートのようなものをかぶせることでボックス席にする方法など、可能性を模索しているという。

 4月に発表された1試合平均の観客動員数は前年比でセが2・4%減、パは6・3%減。球界全体で集客が減っている。12球団最多の動員数を誇る阪神も、前年と比べると7・5%の減少だった。これを受けて坂井信也オーナー(64=電鉄本社会長)は原因の分析を球団フロントに指令した。

 チームの成績不振もあって、前日12日の中日戦では今季最低の3万170人だった。集客増への努力を続けてきた営業サイドはボックス構想以外にもいくつかのプランを秘めている。「現場には現場の仕事がある。我々の仕事は、お客さんが球場に行きたいと思えるようなサービスを生み出すこと」。球団、現場が一体となった逆襲劇が、甲子園を再び興奮のスタジアムへとよみがえらせる。