福岡県警は23日、女性に無理やりわいせつな行為をしたとして強制わいせつの疑いで、プロ野球ソフトバンクの捕手で現在2軍の堂上(どううえ)隼人容疑者(30)を逮捕した。県警によると「間違いない」と容疑を認めているという。球団代表者は「情報を収集中」として対応しなかったが、解雇を含めた重い処分となる可能性もある。

 堂上容疑者は23日朝、自宅を出たところを福岡県警の捜査員に呼び止められ、その後、逮捕された。

 逮捕容疑は19日午後10時半ごろ、福岡県粕屋郡内で、アルバイトの女性(20)の髪の毛をつかむなどの暴行を加え、わいせつな行為をした疑い。県警によると、女性がアパートに帰宅した際、堂上容疑者が「俺の顔を見るな」と言って脅した上、通路でわいせつな行為に及んだ。女性とは面識がなかったという。

 女性が同日午後11時47分に110番し、周辺の防犯カメラの画像や聞き込み捜査などで堂上容疑者が浮上した。犯行があった地域などでは8月に入り、同様の手口のわいせつ事件が数件発生しており、県警捜査1課性犯罪対策室は「本件を固めてから関連捜査をする」としている。

 堂上容疑者は、事件のあった19日も福岡・飯塚での2軍戦に出場し、逮捕前日22日も普通に練習をこなしていた。2軍の遠征に出るはずだったこの日午前7時40分に福岡市内の自宅前で逮捕され、現在は粕屋署に勾留されている。

 09年にソフトバンクに入団した堂上容疑者は1軍では8試合出場にとどまり、主に2軍でプレー。今季は2軍不動の4番打者で、一塁と三塁も守った。練習態度は真面目で、大きな声を出すムードメーカーでもあった。ただ入団前の社会人時代に飲酒の上、トラブルを起こしたことがあり、08年のドラフト会議でソフトバンクが指名した際、他球団から「大丈夫か」などの声が上がっていた。関係者によると、入団時に禁酒の覚書を交わし、その後はプロでの成功を目指し、酒席はお茶で過ごすなど大きな問題はなかったという。

 球団はこの日、今回の逮捕について、1、2軍の現場で口頭で説明した。前日まで練習していた2軍関係者は「変わったこともなくいつもどおり練習していた」と驚いていた。

 現役プロ野球選手の逮捕は異例の事態。球団広報室は「被害者の方に深くおわびするとともに、ファンの皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」とコメントしたが、「現在、事実確認をいたしております」として代表者は対応しなかった。今後は解雇を含めた厳しい処分を検討するとみられる。

 ◆堂上隼人(どううえ・はやと)1982年(昭57)3月12日、神奈川県生まれ。武相-横浜商大-日産自動車-四国九州アイランドリーグ香川を経て08年育成ドラフト5位でソフトバンクから指名。09年開幕前に支配下登録された。1軍通算8試合出場(8打数2安打、本塁打と打点0)で今季は2軍で打率2割5分8厘、3本塁打。香川時代の08年春に米大リーグのレッドソックスが獲得を検討したが破談。181センチ、87キロ。右投げ右打ち。