<阪神3-1広島>◇2日◇甲子園

 しびれた~。猛虎はまだまだ戦える。延長11回2死、4番新井良太内野手(29)が右翼席にドカ~ン。サヨナラ2ランをたたきこんだ。この日は和田豊監督の50歳の誕生日。最高のバースデープレゼントを贈った。今季のリーグ優勝は消滅したが、意気消沈するのは早すぎる。前を向け。牙を研げ。これからも、しびれる戦いを見せてくれ。

 左翼から右翼に吹く風の助けを受け、白球が右翼席に着弾。「入った?

 入った?」。良太は大声で叫び、ヘルメットを脱いだ。学生時代を含めて野球人生初のサヨナラ弾。両手のひらを夜空に掲げてホームインし、瞬く間に手荒い歓迎の輪に消えた。

 新井良

 打った時は訳が分からなくて、めちゃくちゃテンパって…。はしゃいじゃいました。3三振していたし、もう1回三振してもいいや、ぐらいに開き直って。正直ライトフライで終わったと思ったけど、風が味方してくれました!

 延長11回裏2死一塁。規定の3時間30分を回り、試合終了直前。今村の初球、外角146キロ直球を強振した。自身初の2ケタ本塁打となる10号2ラン。劇的弾で記念日に花を添えた。この日は和田監督の50歳の誕生日。新人歳内が初登板初先発し、5回1失点と力投。「誕生日は知ってました。結果的に勝利をプレゼントできて良かった。何とか歳内にも(白星を)と思っていたけど、それは次回何とかしたい」。直前の打席まで3打数3三振。「4番目の打者」は燃えていた。

 新井良

 よく三振してエラーしてフライも落とすのに、たくさん応援してくれて…。自分が「4番」じゃないのは一番分かっている。まだまだ頑張ります。

 三塁ベンチには憧れの人がいた。広島育ちの良太は幼少期、走攻守そろった地元のスター、野村謙二郎のファンだった。「格好良くて大好きだった。家が市民球場から遠くて、テレビで見るばかりだったけど。でも、今は野村さんみたいな選手にはなれないし、ファンから大声援を浴びて勝負強い選手になりたい。金本さんとか桧山さん、立浪さんみたいな、ね」。かつてのヒーローは今や敵将。広島野村監督の前で、現在の理想像に近い活躍を披露すれば、喜びもひとしおだ。

 試合前にV逸が決定したが、がむしゃらに突き進むだけだ。「目の前の1試合と思って、みんなやっている。雑音は気にしない」。試合後はウイニングボールに日付と「50歳おめでとうございます」の言葉を添え、指揮官にプレゼント。感慨はすぐさま消し去った。

 夏休み最後の夜にド派手な花火を1発。「僕はたまっていた宿題をやるって感じでしたが…。学校が始まってからも、まだまだ試合がある。球場まで足を運んでください!」。144試合終えるまで、虎党の笑顔を作り出す。【佐井陽介】