<ソフトバンク3-0ロッテ>◇9日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクの高卒ルーキー、武田翔太投手(19)が5回4安打無失点で5勝目を挙げた。初回に1死満塁のピンチを併殺打で切り抜けると、制球に苦しみながらも試合をまとめた。高卒新人の5勝目は、65年のドラフト制導入後では02年寺原隼人(現オリックス)の6勝に次ぐ球団史上2位タイ。チームはCSを争うロッテとの3連戦に全勝し、首位西武と2位日本ハムに3ゲーム差と迫った。

 納得できなかった。ヒーローインタビューを終えた武田は「ひどかった」と首をひねった。「最近ずっとこんな感じ。野手がしっかり守ってくれて助けられた。調子が悪いなりに自分のピッチングを変えず、しっかり抑えられたらいいかなと」。反省しきりながら、高卒1年目で5勝は立派のひと言。02年寺原の球団記録6勝に王手をかけた。

 試合前のブルペンでも、しっくり来なかった。「あんな不安そうな顔は初めて見た」と高山投手コーチ。それでも新人らしからぬマウンド度胸を発揮した。初回1死満塁では井口をスライダーで併殺打。5回も先頭から2者連続四球を与えたが、相手のまずい走塁にも助けられてしのいだ。チームの方針で100球の球数制限があり5回91球で降板。秋山監督は「バランスが悪かった。でもちゃんとゼロで抑えるんだから大したもんだ」と評価した。

 研究姿勢が好結果を呼んだ。前回2日の日本ハム戦でプロ初黒星。その時の映像と、1軍デビューし2勝を上げた7月時を比較した。全方位から映したフォームをパソコン上で重ね、じっくり画面を見た。出た結論は「これくらい」と5ミリほど指を広げ、前回は重心が高くなっていたことを発見。「分度器と一緒ですよ」と昨年まで高校生だった19歳らしく文房具を例えに出し、わずかな狂いを修正していた。

 持ってる男だ。得点圏に走者を背負っての被打率は1割9分2厘。摂津の2割1分8厘、大隣の2割4分5厘と左右のエースを上回る。ピンチに強い理由を「昔から運がいいんですよ」と自己分析。「今まで宝くじをこれだと思って5枚くらい買って、外れたことがない。100円買ったら絶対1000円以上戻ってくる。高校生にとったらデカいですよ」。都市伝説のような逸話も明かした。

 今ロッテ3連戦は7月の「鷹の祭典」で使った緑のユニホームをまとっている。武田もプロ初登板初勝利を挙げた同7日日本ハム戦で着用しており「縁起がいいですね」と笑った。グラブの色を前回の黒から赤茶に変えたことも気分転換になった。一塁側スタンドで見守った両親も喜ばせた。首位西武とは3差に接近。明日11日からの勝負の9連戦を前に、頼もしい右腕がチームを勢いづけた。【大池和幸】