<中日0-7阪神>◇9日◇ナゴヤドーム
猛虎の4番の座を失ってたまるか-。新井良太内野手(29)も鬼門を突破した。3回、ナゴヤドームでの今季初安打となる左前適時打を放った。5回にも中前打を放ち、7試合ぶりのマルチ安打だ。傷やアザだらけでも、決して弱音は吐かない。ど根性4番が打線を引っ張り、完勝。19歳右腕岩本を援護した。
内角スライダーに詰まった。良太は力で押し返した。左翼芝生にボールが弾み、負のデータが止まった。前日8日は中日戦の連敗が8でストップ。チームから1日遅れ、4番良太も力強く鬼門を突破した。
新井良
こういうの(好機での1本)が増えてくればいいな、と思います。
1回の第1打席は見逃し三振。今季のナゴヤドーム成績は18打数無安打に更新されていた。昨季は同球場で2打数無安打。10年オフに阪神移籍後、20打数連続ノーヒットで迎えた3回だ。1点リードの2死二塁、山内から左前適時打。「移籍してから打ってないし、早く打ちたいよな…」。切なる思いをバットに込め、かつての本拠地でようやく「Hランプ」をともした。
額にはまだ傷パットが貼ってある。4日巨人戦で三邪飛をキャッチした際、カメラマン席に頭から突っ込み流血。7日中日戦では背中に死球を受けた。体は傷とアザだらけ。だからといって弱音は吐かない。
中日時代、開幕直前のオープン戦に三塁で出場。ライナーをダイビングキャッチした際、左肩を脱臼したことがある。首脳陣の耳にも情報は入ったが、何度状態を聞かれても「大丈夫です!」と言い続け、開幕1軍を勝ち取った。「ケガして試合に出た中で、あれが一番キツかったな。でも痛いなんて言ったら試合に出られなくなるから」。昨季までプロ6年間で出場試合数167。試合に出られる喜びは人一倍知っている。
2日広島戦でサヨナラ弾を放った直後、中日谷繁からメールをもらった。「ナイスホームラン!」。敵となった今も、戦場を離れれば気に掛けてくれる大先輩もいる。痛みや疲労に負けるわけにはいかない。
この日は今季90試合目の出場。5回には先頭の2番大和が右前打で出塁し、二盗に成功。3番鳥谷が二ゴロで走者を進め、1死三塁から中前適時打を放った。
新井良
大和が走って、鳥谷さんが打ちやすい形をつくってくれた。そういうところで打てて良かった。
負の数字を消し去り、7試合ぶりのマルチ安打。それでも表情は緩まない。つかみ取った居場所を失ってたまるか-。良太は厳しい表情のまま、バスに乗り込んだ。【佐井陽介】



