<コナミ日本シリーズ2012:巨人8-1日本ハム>◇第1戦◇27日◇東京ドーム

 すっぽ抜けた失投だった。日本ハム吉川光夫投手(24)は、右翼席中段へ消えていく打球をぼうぜんと見送った。先頭の坂本に二塁打を許して始まった、悪夢の4回。先制の1点を失った後、なおも2死一、二塁。ボウカーに、高めへ抜けた初球のスライダーをスタンドへ軽々と運ばれた。「今日は高めに抜ける球が多かった。原因?

 う~ん…、特別に自分の中では調子は普通。いつも通りです」。試合後、足早に球場を引き揚げた左腕は「チームに迷惑をかけて申し訳ない」と、敗戦の責任を一身に背負い込んだ。

 パ・リーグで防御率ナンバーワンを誇った左腕が、完全に巨人打線にのまれてしまった。立ち上がりから、高めへの投球が目立ち、制球に苦しんだ。2回1死一、三塁のピンチを併殺で切り抜け、3回は初めての3者凡退。“さあ、これから”という4回だっただけに、痛すぎる1発だった。「実力を出せないまま終わってしまった。誰が見ても吉川じゃなかった」と、吉井投手コーチが残念がった投球内容。栗山監督は「緊張があったし、力みもあった。思った通りにコントロールできてなかった」。レギュラーシーズンを振り返っても、危険球で退場した6月5日広島戦(札幌ドーム)をのぞいて、最短でのノックアウトとなった。

 苦しんだ76球。ルーキーイヤーの07年に続き、日本シリーズ2度目の先発も、敗戦投手となってしまった。ただ、落ち込んでいる暇はない。次回登板は、もつれた場合の第6戦(11月3日、東京ドーム)が有力だが、3連敗で後がなくなった場合は中4日で第5戦(11月1日、札幌ドーム)に登板する可能性もある。「次はやり返せるよう、しっかり調整します」。リーグ制覇の原動力となった背番号34は、今後の登板を見据えて、しっかりと前を向いていた。【中島宙恵】