<コナミ日本シリーズ2012:日本ハム2-10巨人>◇第5戦◇1日◇札幌ドーム
これがエースの投球だ。巨人の先発内海哲也投手(30)が8回7安打2失点で、日本一に王手をかけた。杉内俊哉投手(32)が左肩の違和感のために登板を回避したため、第1戦(10月27日)から中4日の登板。疲労が抜けきらない中、序盤は苦しんだが、粘り強く投げて日本シリーズ2勝目を挙げた。2連勝の日本ハム打線の勢いを止め、吉川とのエース対決に連勝。あらためて貫禄を示した。
内海がやった。やり切った。杉内の登板回避を受け、上がったマウンド。敵地で連敗を喫した不穏な空気を一蹴した。「2連敗してチームのムードはあまり良くなかった。なんとか自分がいい投球をして試合を流していければと思った」。第1戦同様に相手先発吉川とのエース対決の重要性は重々承知で臨み、完璧に任務を遂行した。
チームに勝ちがほしいときに勝てる投手-。内海が掲げるエースの定義だ。「杉内さんがオッケーだったら次の登板と言われていた」と、明かしたように、当初は中6日で第6戦に先発する予定だった。だが、杉内の左肩の回復が思わしくなく、札幌入り後の10月30日の夜、首脳陣ミーティングで内海の繰り上げ登板が決まった。当初のプランが崩れた一戦、負ければ後がなくなる一戦は、まさにどうしても勝ちたい一戦だった。
お手本になったのは登板を回避した杉内だった。同じ左腕だけに投球動作にヒントを得た。シーズン前、何げなく見たテレビの映像に引き付けられた。
内海
体重移動の仕方ですね。しっかりと左足に体重をためて、後ろからポンっと押し出されるようなイメージ。たまたまテレビで杉内さんの映像を見て、これだって思いました。
技術だけではない。昨季までパ・リーグで百戦錬磨のメンタリティーも同僚となった今季は肌で感じた。開幕3戦目でチーム初勝利を挙げた杉内に「こういうときに杉内さんは勝てるんですよね」。開幕戦で黒星を喫した自身を奮い立たせるきっかけにもなった。ともに2ケタ勝利で投手陣を引っ張ってきた杉内が今はいない。投げたくても投げられない。チームとしても大きな戦力ダウンになりかねない状況を内海が救った。
2回途中でKOした相手吉川に対し、内海は8回までマウンドを守った。同時に「昨日は延長戦で中継ぎ陣がみんな投げている。少しでも長いイニングを投げたかった」と、中継ぎ陣にも貴重な休養を与えた。原監督も「8イニング放ってくれたのは大きい」と、うなずいた。CSファイナルステージから4試合に先発し、延べ25回1/3で438球。救世主になったとは思っていない。内海にとっては、エースの仕事をこなしただけにすぎない。【為田聡史】



