ロッテ伊東勤新監督(50)がメジャー移籍を目指し、海外移籍が可能なFA権を行使する西武中島裕之内野手(30)の獲得参戦を6日、熱望した。西武監督時代にレギュラーに抜てきした中島に対し「うちには右の大物打ちがいないから、ぴったり当てはまる。チャンスがあるなら参戦したい」と公言した。チームはツインズからFAとなった西岡の獲得交渉を行ったが、阪神が圧倒的リード。今後の状況を見て、中島の獲得をフロントに要望する可能性も出てきた。

 伊東監督の戦力補強への思いがあふれ出た。西岡との交渉から一夜明けた中で、口にしたのは西武監督時代にレギュラーに抜てきした中島の名前だった。「中島にも(獲得へ)行ってほしいね。うちには右の大物打ちがいないから、ぴったり当てはまる。まだ目玉的な補強もないから、チャンスがあるなら、ぜひ参戦したい」。フロントにはまだ要望は出しておらず、個人的な思いという段階。それでも「それとなく振ってみようと思う」と今後、検討していく姿勢を示した。

 中島は昨オフに実現しなかったメジャー移籍が最優先の希望。ただ大リーグ球団との交渉が不調に終わった場合は、日本球界残留の可能性もゼロではない。西武も宣言残留を容認することも示唆している。だが可能性があるならば、見過ごすつもりはない。「希望がメジャーということは分かっている。でも今年みたいな(ヤンキースとの交渉が決裂する)形になるなら、ぜひ、うちもという感じでやってほしい」と思いが高まった。

 フロントは現在、西岡の復帰を最優先に動いている。前日5日の交渉で「人間なので情も出てくる。ロッテには育ててもらったので、一番悩むところ」と言わせたが、阪神が圧倒的優位な状況には変化がない。西岡の獲得が失敗に終わった時には、伊東監督が望む中島獲得のBプランへのシフトチェンジを検討する可能性が出てきた。

 「クリーンアップなら3番から5番まで、どこでもできる。軸がビシッとできる」。西武の黄金時代を選手として、指揮官として担ってきたからこそ、戦力が必要なことは熟知している。だからこそ、中島へのラブコールをあえて発信した。【広重竜太郎】

 ◆中島の現状

 西武中島は5日に、大リーグ挑戦を第一にFA権を行使することを球団から発表された。昨季は、ポスティングシステムで大リーグ移籍を目指したが、独占交渉権を得たヤンキースと交渉が決裂。今季は西武に残留したが、夢の舞台への思いは変わらなかった。シーズン中も、大リーグ関係者が視察。すでに、水面下では複数球団が調査を始めているとみられ、すぐに交渉の場に向かえるように、渡米の準備も進める。

 代理人は昨季と同じく、グレッグ・ゲンスキー氏。昨季は中島に球団の選択権はなかったが、FA権を行使しての挑戦で、条件面を精査した上で球団を選択することが可能になる。極めて可能性は低いが、条件次第では、日本球界残留もゼロではないとみられる。

 ◆伊東監督の補強

 西武監督時代の04~07年までFA選手の獲得経験はない。主なトレードでは、04年11月に大友、玉野を放出し、中日から正津と宮越を獲得。05年3月に巨人河原、06年3月に広島福地をそれぞれ交換トレードで補強した。05年11月に巨人へFA移籍した豊田の人的補償として江藤を獲得。主な外国人は、06年オフにレッドソックスへ移籍した松坂の代役として、当時メジャー55勝右腕のジョンソンと球団外国人投手最高年俸3億5000万円で契約したが、シーズン1勝に終わった。