中日高木守道監督(71)が10日、平野謙一塁ベースコーチ兼外野守備走塁コーチ(57)を秋季北谷キャンプに緊急招集した。でも今回の平野コーチの招集は、何と監督の独断。寝耳に水の球団は、連日の守道劇場にてんやわんやとなった。

 9日は名古屋で地元財界「丸八会」の草野球に参加した指揮官。滞在1日で沖縄に帰ってきた横には、平野コーチを同伴していた。「足の速いのが2人(岩崎恭、吉川)おるからね。走塁をしっかりやってもらおうということ」。だが球団にお願いしていた平野コーチの沖縄行きは、経費削減の問題などで認められていなかった。ならばと監督は自腹を決意。平野コーチの往復の航空券代や滞在する10日分の宿泊代、20~30万円を全額負担するつもりで呼んだという。

 一方で、平野コーチを乗せた飛行機が中部国際空港を出発してから事態を知った球団は大慌てとなった。沖縄滞在中の佐藤球団代表が、急きょ名古屋の球団事務所と連絡を取り合い対応を協議。佐藤代表は「監督が若手を何とかしたいと、このキャンプにかける熱意、意気込みの表れでしょう。監督の自腹なんてとんでもない。もちろん旅費も球団が出します」と苦笑いするしかなかった。平野コーチも「まさか俺がここに来るとは」と驚きながら、11日から始まる第2クールの走塁指導に意欲を見せた。

 沖縄の秋、守道劇場には休演日がない。キャンプ初日は朝から晩まで9時間のモー烈鬼指導、2日目は長谷部捕手コーチに「俺と勝負だ」とポスト谷繁育成の挑戦状をたたきつけた。3日目は昼食の弁当に「うどんとか麺を出せ」とダメ出しし、4日目はDeNA入りが決定的なブランコに「三振三振三振だ」。そして休日のこの日は、とうとう独断でコーチを呼んじゃった。そろそろ今日あたり休演日ですか。【松井清員】