阪神から海外フリーエージェント(FA)宣言して米球界に挑戦する藤川球児投手(32)が19日、滞在中の米国から成田空港に帰国した。代理人の団野村氏(55)も同行し、メジャー10球団以上から獲得オファーが届いていたことが新たに判明。条件面では長期契約、強豪を重視し、クローザーにこだわらないスタンス。藤川は「新鮮です」と語った。

 太平洋を渡ってきた藤川の表情は晴れ晴れとしていた。10月下旬に渡米し、3週間の長期滞在。メジャーから自らへの熱気が伝わってきた。ドジャース、ダイヤモンドバックスなど5球団の施設見学も終え、交渉への下準備を整えた。久々に母国の地を踏み、手応えをつかんだ様子だった。

 藤川

 いろんな施設、環境に慣れることができた。(施設見学は)正直なところ、自分が行きたいというより、向こうの方から獲得意思がありました。新鮮です。日本は阪神1球団に慣れてきている。新しい環境を見るのはうれしいこと。

 米国滞在中の8日に海外FA権を行使する意思を表明。15日に交渉が解禁、そこからメジャー球団の反応も迅速だった。全米からラブコールが相次ぎ、今回の滞在期間中だけでは時間切れだった。アーン・テレム氏とともに代理人を務める団野村氏は明かす。

 団野村氏

 10球団以上から(オファーが)あった。時間がなくて、とりあえず5球団に絞った。チームは(今後も)当然、増えていくと理解しています。

 球児の希望する条件も浮き彫りになった。複数年契約について、団氏は「それは大事になってくる」と話す。通常は2年契約が主流だが、それ以上の大型契約に発展する可能性も出てきた。また、チームの強さも大切な要素だ。団氏は「優勝をみんな目指している。大事な要因」と続けた。救援で任されたポジションで全力を尽くし、クローザー、セットアッパーの配置にはこだわらないという。

 12月初旬には米国でウインターミーティングが行われ、代理人の2人が参加。各球団の補強方針を見て、さらに方向性を詰める。

 藤川

 どこに決まるかまったく分からない。何も始まっていない。過度の期待をしてもらって、自分はそれ以上の結果で応える。今まで通りに日本と変わらず、またそれ以上のモチベーションを持ってやるだけ。

 長らく目標に掲げ、大きく動きだした。期限を決めず、熟慮して最善の道を突き進む。【酒井俊作】