「世界一になりたいです」。楽天田中将大投手(24)が20日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への思いを語った。前日19日、イチローと黒田の日本代表入り辞退が発表され、侍ジャパンの山本監督が「純国産」メンバーで3連覇に挑むと明言。これまでWBCの話題には口を閉ざすことが多かった田中が、意を決したかのように代表への決意を示した。
思いはシンプルだった。大半の選手が岡山・倉敷の秋季キャンプを終え、そのままオフ期間に突入。仙台に残り、Kスタ宮城でトレーニングする選手は限られる。最後に室内練習場を出た田中が、重かった口を開いた。来春WBCの目標は世界一か、と聞かれると「なりたいですね」と即答した。3年前の感激をもう1度だ。代表の一員として、第2回WBC優勝。プロに入って初めて頂点を味わった。「優勝した後の、あの気持ち。良かったですよ」と目を細めた。まるで昨日のことのように話した。
目指すゴールは同じでも、立場が変わった。レンジャーズ・ダルビッシュ、マリナーズ岩隈、黒田ら出場を要請された大リーガーが全員辞退。前回大会は、そのダルビッシュや岩隈、松坂らが投手陣を引っ張った。今や楽天のエースとなり、「沢村賞投手」にもなった。当然、代表でも「エース」と期待されるが、「僕はエースとは思いません」と謙虚だった。
理由は明快だ。「代表では、まだ何もやれていませんから」。決して「何もやれていない」わけではない。初代表となった08年北京五輪も、前回WBCも、一定の成績は残した。ただ“柱”ではなかった。初めて代表で先発した今年3月の台湾との復興支援試合では、1回にソロ本塁打を許し「いつもの投球ができませんでした」。だから来年3月は、名実とも日本のエースになるチャンスではある。ただ、田中本人は「別にエースになりたくて野球をやるわけじゃありません。誰がエースかは周りの人が評価することです」と言った。あくまで目指すのは「優勝」とした。
シーズン終了後は東北の秘湯でオーバーホールを行い、11月は小山伸、青山らとチームを離れて個別に調整した。「良い時間が過ごせました」と、来季へ向けた入念なケアを完了した。キューバ戦はテレビ観戦し「WBCは普段、野球に興味がない人も見てくれる」と感じた。迫る大舞台。「エース」の肩書はいらない。1人の投手として3連覇に挑む。【古川真弥】




