復活か、終わりか-。阪神に入団する西岡剛内野手(28=ツインズFA)が20日、大阪市内のホテルで入団会見に臨み「勝負の年」と再起へ意気込んだ。2年総額6億円(年俸2億円+出来高、契約金含む)で契約。背番号は7。リーグ3位から日本一の下克上をロッテで経験した男が、背水の覚悟で挑む来季、虎を頂点に導く。(金額は推定)

 鋭い目つきには、覚悟が詰まっていた。阪神西岡誕生というめでたい舞台で並べたのは、来季への背水の言葉だった。オファーがあった複数の球団の中から、阪神を選んだ理由。結果が出なければたたかれる。あえて人気球団ゆえの厳しさを求めた。

 西岡

 自分の中では、いばらの道を選んだという言い方が正しいのかも分からないです。もう1回復活するのか、そのまま終わっていく選手になるのかという意味では、この1年、2年というのは僕自身の中で分岐点になってくると思うので。

 11年にメジャーに挑戦。意気揚々と海を渡ったが、待っていた現実は厳しかった。1年目にいきなり左足骨折に見舞われるなど不運もあった。出場機会にも恵まれず、プライドを捨て、ツインズとの残り1年の契約を破棄して帰国。自由契約になった際、いの一番に声を掛けてくれたのが阪神だった。「戦力になってくれ」。中村GMにもらった言葉がうれしかった。必要とされることに飢えていた。野球人生を懸ける覚悟を胸に、あこがれの甲子園を舞台に暴れ回る。

 西岡

 ロッテでやっているときも甲子園でプレーをしていて、1回でいいからこのチームで、ホームグラウンドとしてやってみたいなと思ったこともあります。風船飛ばすときも六甲おろしが流れれば口ずさんでいました。

 もちろん特別扱いを受けるつもりはない。ポジションはもぎ取る覚悟だ。すでに統一球で練習を開始しており、キャンプ中の2月中旬に予定されている練習試合も出場OK。原点回帰の1年目に懸ける覚悟は並大抵ではない。

 西岡

 出る準備をしておくのが選手の役目だと思うし、それこそ(キャンプインの)2月1日の紅白戦に出ろって言われたら、出なければいけないし、そういうところはキャンプまでにしっかり体をつくっておきたい。

 5位に低迷した阪神にとって、精神面でも最高の補強になる。西岡はロッテ時代の10年にリーグ3位からクライマックス・シリーズ、日本シリーズを勝ち抜く“下克上”を経験。諦めないチームの遺伝子を引き継いでいる。球団を阪神に移し、今季ぶっちぎりで優勝した巨人に下克上を挑む。

 西岡

 戦力がそろっていても、勝ち抜ける戦い方というのはどこのチームにもあると思いますので。野球がおもしろいところは、力があっても試合を落としてしまう可能性があるところ。

 このままで終わるつもりはない。野球人生を懸ける西岡が、猛虎再建の先頭に立つ。【池本泰尚】

 ◆西岡剛(にしおか・つよし)1984年(昭59)7月27日、大阪府生まれ。大阪桐蔭では3年夏に甲子園出場。02年ドラフト1巡目でロッテ入団。05年と10年の2度、日本一。10年オフにポスティングシステムで米ツインズに移籍したが、今年9月末に契約を1年残して自由契約となった。182センチ、80キロ。右投げ両打ち。

 ◆阪神の背番号7

 俊足巧打の好選手が目立つ。金田の通算103三塁打はプロ野球史上3位。並木は60、62年にベストナインとなるなど、リーグを代表する外野手に。クラウンからトレード移籍の真弓は83年首位打者、85年は1番打者ながら34本塁打で日本一に貢献。今岡は03年首位打者、05年打点王と、2度のリーグ優勝の原動力となった。