日本一連覇のためなら、鉄拳制裁も辞さない!

 巨人阿部慎之助捕手(33)が21日、セ・リーグの最優秀選手(MVP)を初受賞した。受賞会見では、この日、仮契約を結んだドラフト1位菅野智之投手(23=東海大)に対し“愛のむち”も振るう覚悟を示した。バッテリーを組むであろう黄金ルーキーも特別扱いすることなく、来季も頂点目指してチームを1つに束ねていく。

 阿部の顔に、不敵な笑みが浮かんだ。MVP受賞会見の最後、話題がドラフト1位の菅野に及んだ時だった。1年のブランクがある新人右腕を「いろいろあったドラフトで入ってきたと思います」と思いやり、「フォロー、サポートしていければ」と全面協力を約束した。

 ここからが慎之助流だった。「昨日、監督が『鉄拳制裁もありだ』とも言ってたので、沢村の次に餌食になるかもしれないですね」とニヤリと笑い、そっとマイクを置いた。原監督のおいっ子であろうが、主将として特別扱いはしない。そんな心意気に、原監督も「鉄拳というか、厳しくね。それがうちの流儀だから」と笑顔で容認した。

 “鉄拳辞さず”はもちろん、阿部なりの愛情表現の1つ。今季の日本シリーズ第2戦でも、初回にけん制のサインを見落とすなど周囲が見えない沢村の頭をマウンド上でひっぱたいて目を覚まさせた。悪者になろうが、周囲の目も関係ない。「1点を争う試合なんだからね」と、勝利のためなら手段は選ばない。

 MVP初受賞の喜びの言葉にも、そんなチームへの愛情がにじみ出た。2冠を取った自身の成績が評価された受賞であることは、間違いない。それでも「日本一になったり優勝したりってのが(MVPの)条件になってくると思う。チームの選手、裏方さん、全員で取ったものじゃないかな」と、自分は代表者だと強調した。

 右ふくらはぎ筋膜炎を抱えながら、自分にむちを打って戦い抜いた。その先に3年ぶり日本一が、個人としても2冠にMVPが待っていた。それでも、阿部は満足していない。「日本一が毎年の目標。今年の反省を踏まえて、またみんなで考えて、来年、日本一」。来年も巨人の中心には、頼れる慎之助がどっしりと構える。【浜本卓也】

 ◆阿部の沢村ポカリ

 日本シリーズ第2戦の1回表、先発沢村が陽岱鋼、中田に死球を与え2死一、二塁。稲葉の打席ではセカンドへのけん制サインを見落とした。阿部はたまらずマウンドに駆け寄り右手を広げて「バカッ、お前!」と沢村の頭をひっぱたく荒療治。愛のムチが効き沢村は8回無失点で勝利投手になった。

 ◆捕手のMVP

 03年城島(ダイエー)以来で阿部が7人目。巨人の捕手では87年山倉以来2人目。左打ちの捕手では初。