「コーチ」が「選手」として世界一を目指す。日本ハムの来季1軍コーチングスタッフが23日、発表され、稲葉篤紀外野手(40)がコーチ兼任となることが決まった。侍ジャパン山本浩二監督(66)の信頼度も高く、来年のWBC出場メンバー入りの可能性もあるが、その場合、球団は快く送り出す方針。選出されれば、所属するチームでコーチの肩書を持つ人物が、選手として世界の舞台に立つことになる。

 コーチを兼任していても、“侍戦士”として国際舞台へ送り出す。兼任コーチとなった稲葉が、WBCメンバー入りする可能性があることについて、日本ハムの山田GMは「コーチ専任というわけではないので。選ばれれば、出場することに支障はない」と、仮に選出された場合は快く送り出す方針を固めている。

 来年3月に行われるWBCへ向けて、侍ジャパンは各球団がキャンプ中の2月中旬に代表合宿をスタートさせる。国際経験豊富なベテランとして、本大会出場メンバーの有力候補のひとりである稲葉だが、コーチ兼任となったことで、日本ハムにとっては大事な主力選手に加え、指導者までもがいったんチームを離れるという事態になってしまう。

 だが、比重はプレーヤーとして重きを置いており、球団幹部は「(チームの)コーチミーティングに出るのも、時と場合に応じてということになる。そういう(コーチの肩書があるからWBCを辞退する)ことにはならない」と話した。

 2大会連続で世界一に輝いている日本代表だが、所属するチームでコーチを務めている人物が選出されれば、初めてのケースとなる。メジャー組が辞退し、国内メンバーで戦うことが決まっているだけに、稲葉が選ばれる可能性も大いにありそうだ。

 この日札幌ドームで行われたファンフェスに参加した稲葉は、「メーンはプレーヤー。コーチというよりは、今まで通りアドバイスをする感じ。肩書がついた分、今年よりは言いやすくなるかな。僕だってレギュラーを奪い取らなければいけないから」と、選手として全力投球する気持ちは変わらない。世界で戦う「兼任コーチ」が、日本に3連覇という偉業をもたらすことになるかもしれない。