何でも1番じゃないと、気が済まない!

 日本ハム中田翔内野手(23)が3日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、今季年俸から4000万円増の8500万円(金額は推定)で一発サインした。シーズン通して4番の重責を担った若き大砲は、今日4日に発表されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも日本代表候補入りが確実視されている。6年目の来季へ向け、史上最年少での3冠王という大目標まで打ち立てた。

 会心の一発サインに、中田の表情は緩みっぱなしだった。契約更改後の記者会見。マイクの前に腰をかけると、開口一番「1億1000万円でサインしました」。どよめく報道陣の姿を存分に堪能し「ウソです。8500万円です」と昨年の1億円に続き、2年連続の“偽申告”を暴露した。「去年はいかにもウソっぽかったけど、今年はびっくりしたでしょ?」と楽しそうにケラケラ笑った。

 野手では陽岱鋼らとともに、トップクラスの評価を受けた。今季は全144試合に4番としてスタメン出場。前半こそ苦しんだが、首位争いが激しくなった終盤は好調をキープした。課題とされていた左翼守備でも、両リーグで断トツの19補殺を記録するなど、攻守両面で高評価され「素直にうれしかった」。増額分で「家でも買おうかな~」と終始、上機嫌だった。

 ただ、自分の成績に満足しているわけではない。「本塁打も打率も打点も、全部1番になりたい。1番には、こだわりがある。誰にも負けたくない。そのつもりで練習していく」。目標は大きく、史上最年少での3冠王。今日4日に発表されるWBCの日本代表候補でも選出が確実で「選ばれたらプレッシャーを力に変えて、自分のできることをやっていきたい」と意気込んだ。

 自宅に帰れば、今度は小遣いの賃上げ闘争が待っている。入団当初は月30万円の小遣いに「足りない」とこぼしていた中田も、今や一家の主。「僕、ぱっぱらぱ~なんで(財政管理は)家族に任せている。一応、お小遣い制なんですけど、付き合いとかいろいろあって…。もう1つの契約交渉で自分の思いをしっかりと伝えたい」。より、厄介な交渉へ、早くも気持ちを切り替えていた。【中島宙恵】