楽天が、ダイヤモンドバックスからFAとなっている斎藤隆投手(42)と入団合意に達したことが27日、分かった。既にメディカルチェックを済ませており、近日中に発表する。今オフは、ヤンキースのジョーンズ、マギーとメジャー野手を次々と獲得。これに、地元仙台出身のメジャー通算84セーブのベテラン右腕を加える。悲願のCS進出、初優勝へ、補強の手を緩めない。

 星野仙一監督(65)の思いが届いた。今月中旬、去就が決まらない斎藤に対し、同監督は「隆は投げられるか?

 元気だったら面白い。助かるよ。元気が一番」と熱烈ラブコールを送っていた。その後、球団幹部が斎藤サイドと接触。交渉を進め、1年契約で合意に達した。

 釜田、辛島らが台頭し、若手が増えた投手陣にベテランの重しが加わる。斎藤は91年ドラフト1位で大洋(現DeNA)入団。05年オフの米挑戦まで、先発の柱として、抑えとして、チームを支えた。98年には13勝で38年ぶりの日本一に貢献。米移籍後はメジャー5球団を渡り歩き、計84セーブを重ねた。今季は故障が重なりDL(故障者リスト)入りが多かったが、楽天のメディカルチェックをクリア。球速は最速150キロと衰えておらず、日米の経験も買われ、加入が決まった。

 本拠地の仙台出身である点も見逃せない。アマ時代も東北、東北福祉大と地元でプレーを続けた斎藤を、球団は早くからリストアップ。明るく実直な人柄も高く評価し「仙台のシンボルになれる人。うちが獲得しないのは失礼」(球団幹部)と言うほど、ほれ込んでいた。斎藤も、8年ぶりの日本球界復帰を故郷で迎えられる。東日本大震災では、故郷の惨状に心を痛めた。同年のシーズン後にはMLB選手会代表として石巻を訪問。子どもたちに野球用具を贈っている。愛する杜(もり)の都で、地元ファンに元気を与える仕事が待っている。

 ◆斎藤隆(さいとう・たかし)1970年(昭45)2月14日生まれ、仙台市出身。東北高、東北福祉大を経て91年ドラフト1位で大洋(現DeNA)入団。06年にドジャースとマイナー契約し、同年4月にメジャー昇格。最初のセーブ機会から48回中45度の成功を収め、大リーグ新記録を樹立。37歳で自己最速99マイル(159キロ)をマークした。09年レッドソックス、10年ブレーブス、11年ブルワーズ、今年はダイヤモンドバックスに所属。メジャー7年で5度プレーオフに進出。球宴出場は日本で4度、メジャーで1度。188センチ、87キロ。右投げ左打ち。