<オープン戦:ヤクルト8-8阪神>◇24日◇浦添

 もう「満塁」は怖くない!

 開幕カードの相手ヤクルトに、ニュー猛虎打線が強烈な先制パンチを食らわせた。不安定な先発八木に襲いかかり1回に満塁機で3度、タイムリー。4番新井良太内野手(29)の先制打から一挙7点を奪った。昨季はチャンスになるほど凡打が増え、満塁打率も1割台と低迷。新戦力が加入して競争が激しくなった虎打線、ひと味もふた味も違いまっせ!

 気圧配置はかなりの打高投低だ。日本列島が寒波に震えるなか、沖縄ラストデーの阪神打線は早くも春の到来すら予感させる。見せ場はプレーボール直後に訪れた。無死満塁の絶好機。キャンプMVP男の4番新井良が奮い立つ。左腕八木のスライダーをコンパクトにたたき、右前へ。2者を本塁に迎え入れ、早々と試合の主導権を握った。

 新井良

 最初、打てたのはよかった。追い込まれていたので何とか食らいつく意識です。(満塁で)いろいろ考えてやっている。やってはいけないのは三振です。頭を整理しながらやった結果。これを続けたい。

 扉をこじ開けた適時打の後も各打者は高く浮くボール球を冷静に見極め、3者が四球で出塁。フルベースになると、立て続けにバットが火を噴いた。コンラッドは鈍い衝撃音を発しながらも中前に運ぶ2点適時打。「内に来た球に詰まったけど、いい形で前に飛んでくれた」とニンマリだ。2巡目の上本も負けじと左翼線に安打を放ち、さらに2点追加。打者12人の波状攻撃で一挙7点を奪った。何よりも、昨季、満塁でことごとく凡退したコンプレックスを消したのが収穫だった。

 前日23日の日本ハム戦でも先制打をマークした4番新井良も昨年、満塁打率が1割2分5厘だった。チーム全体でもリーグワーストの1割8分9厘に終わった。ビッグチャンスで空回りして凡退を重ねる弱々しい姿はない。この日は6番マートン、7番コンラッドの布陣。下位まで強力になったラインアップは日増しに頼もしく映る。

 好機で縮こまっている場合ではない。福留、西岡、コンラッド…。新戦力の加入がレギュラー争いをヒートアップさせている。満塁で結果を残した新井良はコンラッドや兄貴浩と定位置を競い、立場は定まっていない。上本も西岡という競争相手と火花を散らす。得点機は格好のアピールの場になるだけに、喜び勇んで打席に立つ。層は厚くなり、たくましさも増した。開幕カードを戦うツバメ軍団との1戦で、生まれ変わった姿を見せた。【酒井俊作】

 ▼阪神が1回に7得点した。この回は満塁の場面が5度あり、野原が中飛だった以外は3安打(新井良、コンラッド、上本)1四球(マートン)で7打点をマークした。オープン戦2試合で満塁でのチーム打率は8割、早くも10打点を挙げている。昨季のオープン戦では満塁で打率2割、5打点。公式戦でも1割8分9厘、74打点と好機で打てない場面が目立ったが、ここまでは勝負強さが光っている。