守護神は俺だ!

 ソフトバンク五十嵐亮太投手(33=ヤンキース)が25日、圧巻の投球で存在感を見せつけた。B組(2軍)対韓国・斗山の練習試合(宮崎アイビー)に2番手で5回に登板。1イニングを3人、わずか10球で料理した。今日26日でチームはキャンプを打ち上げるが、抑え争いがオープン戦で過熱していく。

 五十嵐は納得の表情を浮かべた。「すべての球種に対して思った軌道で思ったところへ投げられている」。先頭をカットボールで右飛、続く打者には139キロのフォークを低めに落とし三ゴロ。米国から戻り、今キャンプで再び投げ初めた宝刀は、思うように投げられなかったが、きっちり修正した。浅めに握り、腕を縦に振る。「昔(ヤクルト時代)に戻った気がする。試合で使っていける」と笑顔を見せた。

 最後の打者は外角高めにこの日最速の147キロ直球を投げ込み力で空振り三振を奪った。ネット裏、斗山スコアラーのスピードガンでは154キロを計測したほど勢いがあった。

 日本の柔らかいマウンドなど日本の野球へ戻すために時間がかかった。「いろいろ自分の中で変えることがあったがいい形にまとまった」と1カ月かけて適応。ただ、ヤクルト時代からブルペンで連投のテストは行わない。「疲れるし必要ない。シーズンに入れば投げるし、できる体になっている」とそこだけは譲らなかった。

 今キャンプ唯一の悩みが杉の木山に囲まれた生目の杜で、花粉症に悩まされたことだった。サングラスで防御し「米国では大丈夫だったんですが…。花粉好き好きって思うしかないですね」と超プラス思考で乗り越えようとしている。

 前日24日、同じく守護神候補のファルケンボーグが右肘の違和感を訴え、西武とのオープン戦の登板を回避。秋山監督は「まだ何も決めていない。これから」と今季の守護神について白紙を強調するが、「クローザーをやりたい」と言い続ける五十嵐の言葉が力強くなってきた。【石橋隆雄】

 ◆ホークス抑え展望

 昨年の苦しい抑え、セットアッパー事情を救った岡島は退団し、アスレチックスとマイナー契約。通算180セーブで今季復活が見込まれた馬原はオリックス移籍と、2人の候補を失ってのキャンプイン。実績ではファルケンボーグが本命で、昨年その代役を一時務め、17セーブ23ホールドの森福、そして五十嵐が対抗。昨季終盤にリリーバーとしての適応能力を見せた岩崎もオープン戦次第でダークホースになりうる。