左肘痛で出遅れていた昨季パ・リーグMVPの日本ハム吉川光夫投手(24)が26日、広島との練習試合(名護)で実戦初登板した。直球の最速は148キロを計測し、3回を投げて1安打無失点と、昨季終盤に痛めた肘の不安を一掃した。

 打者に対して今年初の投球は、実り多いものとなった。「相手の反応を見たかった」という実戦初登板で、直球だけでなく変化球もストライクゾーンに決まり、打者10人から2つの空振り三振を奪って無四球。「球威がないし、逆球もあったし(バットの)芯でとらえられている打球もあった。まだまだ」と本人評価は辛口だったが、怖がらず腕を振った36球は、順調な仕上がりを印象づけた。

 首脳陣は同一カード3連戦の初戦を、武田勝、吉川の2人に託す“ダブルエース構想”を描いており、吉川は2カード目の頭となる4月2日ロッテ戦(QVC)での先発が内定している。開幕投手が先輩左腕の武田勝に決まったことに「僕より体が安定しているし、信頼感もあるので、妥当だと思います」と人選には納得も「いずれは、やりたい」と新たな目標もできた。

 オフにはフォームを見直し、徹底した走り込みで下半身を強化。投げられない時期があったからこそ、基礎体力を鍛える時間がたっぷりあった。マイナスをプラスに変えることができるかは、吉川次第になる。「今年は大事な年になる。しっかり結果を残したい」。昨年の活躍が偶然ではないことを証明するために、自信を持ってマウンドに立つ。【中島宙恵】