<オープン戦:広島1-2巨人>◇14日◇マツダスタジアム
これが菅野だ。巨人のドラフト1位、菅野智之投手(23=東海大)が、広島戦に先発し、6回2安打無失点8奪三振と、圧巻の投球。オープン戦ながらプロ初勝利を手にした。最速149キロの速球が決まり、開幕シリーズで戦う広島相手に、強烈なデモンストレーションとなった。
心のモヤモヤが解消された。菅野が思いっきり直球を投げ込んだ。「あらためて直球の重要性を感じた。直球あっての変化球だと再認識できた試合でした」。セ・リーグチームとの初対戦。開幕カードの広島打線を前に、直球主体の内容で力を見せつけた。
主力打者に対しても迷いはなかった。5回2死、打者栗原。全5球の直球勝負を挑んだ。カウント2ボール2ストライクからの勝負球は、実松が構えたミットがピクリとも動かないほどに制球された146キロ直球。アウトローにズバッと決めた。「最後追い込んでから変化球も考えたけど、実松さんが直球のサインを出してくれたので、それで行こうと思った。全部、直球だった。自信になりました」と、この日8個目の三振に思わず笑みがこぼれた。
有言実行だった。3日のソフトバンク戦では直球に精彩を欠き、変化球主体に切り替えたが4回8安打4失点。小手先のごまかしは、プロの世界では通用しないと痛感した。当初登板予定だった10日の阪神戦が雨天中止で流れ、中10日でのマウンド。「何よりもストレートだけを頭に置いて調整してきた。遠投とか短いダッシュとかを増やして体のキレを出すこともそうだった」と、最優先事項として修正に取り組み、その成果を示した。
軸が決まり、投球バリエーションも広がった。直球で追い込んでから投げる変化球は効果を発揮し、逆に、変化球で追い込めば直球の威力も倍増。実松は「ストレートはカット軌道でベースをかするようにくる。腕を振ってフォークを投げてきてくれるから配球のパターンも増える」と、解禁したばかりのフォークにも合格点を与えた。川口投手総合コーチも「制球力、打者対策、状況判断、あらゆる部分での向上があった」と、うなずいた。
開幕前の最終登板は23、24日の東京ドームでの楽天戦になる。菅野は「前回がダメだったから、すごく意気込んで試合に入ったというのはあるけど、シーズンが始まれば先は長いので一喜一憂していられない」と、再び気を引き締めた。まだ何も始まっていない。すべては、これから始まる。【為田聡史】



